2025年7月3日17時12分

ワールドミッションレポート(7月3日):コンゴ民主共和国 戦火の中、詩篇91篇にすがるキリスト者たち

執筆者 : 石野博

銃弾がコンゴ民主共和国東部ゴマの街に降り注ぐ中、牧師のモイーズ・オンベニ氏は家族を集め、詩篇91篇を力強く声に出して祈った。彼は「いと高き方の隠れ場に住む者は、全能者の陰に宿る」と聖句を口に出し、屋根が銃撃で打ち抜かれる中、神を避け所として宣言したのだ。

武装反乱組織「M23」による攻撃が再び激化し、これまでに少なくとも900人が命を落とし、数万人が家を追われている。多くの地域では、水や食料といった生活必需品すら供給が断たれ、混乱と絶望が広がっている。M23は主にツチ系住民で構成される勢力で、過去にも同地域で大規模な攻勢をかけており、ルワンダとの関係がしばしば国際的な緊張を呼んでいる。

そのような中、信仰者たちは聖書の言葉と互いの助け合いに希望を見いだしている。ある信者の家庭では、心の傷を負った人々に仕え、祈るために、自宅を避難民のために開放した。「心に深いトラウマを抱える人々に寄り添うための力を、神に求めています」と彼は語る。

危険や困難が増す中にあっても、多くの牧師たちは信仰の現場を離れようとはせず、支援物資を届け、霊的な励ましを与え、そして、教会が平和の担い手となるよう呼びかけている。「信仰を失ってしまった信者もいます。どうか主が、私たちの心に祈りの炎を再び灯してくださいますように!」とオンベニ氏は言う。

詩篇91篇は、今や多くの信者にとって希望の象徴となっている。「いと高き方の隠れ場に住む者は、全能者の陰に宿る」という言葉は、命の危険の中にあっても、神の守りに信頼する信仰の叫びなのだ。

この地に平和が戻るよう、またキリスト者たちが恐れに屈することなく、福音の光を放ち続けることができるよう、祈っていただきたい。

■ コンゴ民主共和国の宗教人口
プロテスタント 22・4%
カトリック 50・0%
単立 20・2%
イスラム 1・9%
土着の宗教 5・1%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。