2025年6月19日15時11分

日本福音同盟、戦後80年で声明 日本の教会が戦時下に犯した罪の歴史と悔い改めを確認

日本福音同盟(JEA、水口功理事長)は17日、「戦後80年にあたってのJEA声明」を公式サイトで発表した。声明は、2日から4日にかけて開催した第40回総会で採択した。

JEAは、戦後50年となる1995年に声明を発表して以来、戦後60年、戦後70年の各節目にそれぞれ声明を発表してきた。今回の声明では、過去3つの声明を振り返り、最近の現状に触れた上で、10項目の「願い」を盛り込んだ「戦後80年の決意」を表明。これまでの歩みの不十分さを認めつつ、新たな10年を覚え、神に導きを求める祈りを記している。

過去3つの声明の振り返りでは、それぞれの内容を端的に説明している。「戦後50年声明」では、日本の教会が戦時下に、「国民儀礼・神社参拝という偶像崇拝の罪を自ら犯すとともに、近隣アジア諸国の教会に対してもそれを強要し、侵略に加担した」ことを認め、悔い改めと謝罪を表明。聖書信仰に立ち、神に再献身することを誓った。

「戦後60年声明」では、2000年に沖縄で開催された第4回日本伝道会議の「沖縄宣言」を踏まえ、「無関心と知ろうとしない罪」を悔い改めた。「戦後70年声明」では、日本の教会が戦時下に犯した罪の歴史とその悔い改めを次世代に伝えるとともに、アジア・世界の諸教会と協力し、和解の働きに取り組むことなどを表明した。

最近の現状では、2019年の天皇の退位・即位に伴い行われた諸行事について、信教の自由と政教分離の原則に重大な疑義が投じられるものだったと主張。特に、新天皇の即位後に行う「大嘗(だいじょう)祭」を問題として挙げた。一方、「平成の大嘗祭」は教会内で反対運動が広がったものの、「令和の大嘗祭」は一部にとどまったと指摘。天皇制に対する受け止め方に変化があることは認めつつも、「『戦後70年声明』で採択された『伝える責任・受け取る責任』を十分に果たせなかったことを痛感」するとした。

また、在日米軍基地の多くが沖縄に集中している問題については、「戦後60年声明」で、無関心であったことに悔い改めを表明したものの、この20年間、この問題に真摯(しんし)に取り組んできたとは言い難く、現状は変わっていないと指摘。安全保障を巡るこの10年余りの政治動向にも言及し、「戦後日本の武力に拠らない平和構築が激変」しているとした。

戦後80年の決意では、聖書信仰に立ちながら、現代的な諸問題を神学し、キリストにある一体性を現実のものとしていくために最善を尽くすと表明。戦争の記憶が薄れていく中、日本の教会が戦時下に犯した罪の歴史を学び、悔い改めを深めつつ、国が偶像礼拝の罪に陥らないように警告し、イエス・キリストだけを主とする信仰に生きるとした。

その上で、「過去の罪を伝える責任を誠実に果たすこと」「過去に罪を犯した根本原因を聖書に基づき再確認し、信仰と生活の遊離を繰り返さないこと」「戦時中と類似性をもつ事態を見抜くこと」など、10項目の「願い」を挙げた。

最後の祈りでは、過去の歩みが「誠に不十分」だったと認めた上で、「私たち人間の犯す争い、破壊、混乱をお赦(ゆる)しください。主の平和が一日も早く世界の隅々にまで実現しますように」と懇願。その上で、「私たちを平和の器として用いてください。自己中心の罪に気付かせ、他者と共に生きる勇気を教えてください。『神のしもべ』である為政者たちのために祈り続ける忍耐力を与えてください」などと求めた。