2025年5月25日11時44分

アルファ・コース、2024年の参加者が世界で210万人超え 過去最多を記録

アルファ・コース
(写真:アルファ・インターナショナルの2024年の報告書より)

「アルファ・コース」の名前で知られているキリスト教入門コースを展開している宣教団体「アルファ・インターナショナル」(本部・英ロンドン)はこのほど、2024年に世界で210万人以上が同コースに参加し、50年近い歴史で最多となったと発表した。

アルファ・コースは、軽食を伴いながらキリスト教信仰の基本的な内容を伝えるトークと、その後の小グループによるディスカッションで構成される約10週間のプログラム。1977年に、ロンドンにあるホーリー・トリニティー・ブロンプトン教会(英国国教会)で始まった。その後、90年に同教会の教区牧師であったニッキー・ガンベル牧師が教会外の人々向けに体系化し、以来、元のシンプルさを維持しつつ拡大。現在では、世界中のさまざまな教派によって支持されている。

報告書(英語)によると、参加者が過去最多となった2024年は、4万3千以上の教会や団体、個人がコースを主催し、146カ国で8万1千以上のコースが行われた。

ガンベル牧師はアルファ・コースについて、「信仰を共有する場ではありません。それは、人々が自分自身で信仰を探求する環境を提供する場なのです」と話す。プレッシャーもなく、前提もない。ただ質問し、聞き、考えるための場。この精神こそが、アルファ・コースの魅力を支えてきた。

昨年11月には、新たに「アルファ・ユース・シリーズ」を開始。開始からわずか数カ月間で、53カ国25万人以上の若者が参加した。

2024年の参加者全体で見ると、3分の1以上が25歳未満だった。この変化は、より深い質問を投げかけ、自分自身の条件で信仰と向き合う場を求める若い世代の間で、アルファ・コースの魅力が高まっていることを示している。

アルファ・コースが持つ影響力は、個人の物語を通じて最も良く理解されることが多い。友人の誘いで参加したゴッドフリーさんは、アルファ・コースがもたらした予期せぬ慰めと明確さについて、次のように話す。

「黒人としての多くの困難に直面する中、家族の一員であるという感覚、信仰の感覚、地平線の向こうに希望があるという感覚を見つけました」

アルファ・コースは、その拡大を、対話の場をつくり出すことをいとわない一般信徒に依存している。若者を対象にしたコースを主催するナイジェリアのダリウスさんは、その経験が自身の生活をも変えたと話す。

「アルファ・コースは、神を愛し、その知識を深めたいと願う若者たちの仮想コミュニティーを築くことを可能にしてくれました。コースを主催することで、神が単純なホスピタリティーと対話を通じて働かれることを、強く思い起こすことができます」

アルファ・インターナショナルの広報担当者は、アルファ・コースの持続的な魅力と深い霊的意義について、次のように振り返った。

「アルファ・コースでは、温かい環境の中、人々は友人をつくり、楽しみながら信仰を探求します。しかし、私たちの最も深い願いは、人間の努力を超えたところにあります。それは、参加者が、赦(ゆる)しや癒やし、預言といった神の王国の超自然的なことを、直接目撃することです」

温かく社交的な伝道活動と、霊的な変革への深い願望とのバランスは、アルファ・コースのミッションの核心にあるものだ。

専門家による伝道ではなく、個人的な招待に重点を置いていることは、アルファ・コースが持続的に成長して来られた理由の一つだ。スウェーデン南部ヨーテボリ近郊の教会を牧会し、アルファ・コースを取り入れているジョエル・カリン牧師は、この特徴をシンプルに次のように話す。

「誰もが伝道者ではありませんが、誰もが招待できるのです」

アルファ・コースは、英国の教会が地域社会と再び結び付く方法を模索する中、キリスト教信仰の「静かなリバイバル」における貴重なツールとしてますます注目されている。それは、信仰や所属感に興味を持つ人々にとって、アクセスしやすい出発点となる、安全で社交的な伝道の枠組みを提供する。

さらに、アルファ・コースは、無料であることと、食事とオープンな会話を中心に構成されていることから、教会が真のホスピタリティーを育む手段をも提供している。多くの場合、食卓を囲む中で築かれた関係は、永続的な友情へと発展し、新たな信仰の旅の第一歩となる。

ガンベル牧師は、「アルファ・コースは、地元の教会によって運営され行われる場合、効果的な伝道形態となるのです」と話す。

この地域関係と教会生活に深く根ざしたモデルは、アルファ・コースが英国内外で影響力を持ち続けている鍵を握っている。

ロンドンの教会の地下室で始まったこの小さな取り組みは、世界的な運動へと成長した。しかし、アルファ・コースの核心は変わらない。それは、「正直な議論」「真の歓迎」、そして「人々が自分の信仰を探求する場」だ。昨年の記録的な参加者数が示すように、現在、これまで以上に多くの人々が、この招待を受け入れている。