
欧州福音同盟(EEA)は、米国出身のロバート・フランシス・プレボスト枢機卿が新ローマ教皇レオ14世として選出されたことを受けて、カトリック教会に対する公式の祝意のメッセージを発表した。
EEAは、13日に発表したメッセージ(英語)で、新教皇選出に「謹んで祝意を表す」とともに、第267代教皇となるレオ14世が、聖アウグスチノ修道会の出身であることについて「特筆すべきこと」だとして、特に言及した。
レオ14世は、1977年に聖アウグスチノ修道会に入会し、81年に終生誓願を宣立。翌82年に司祭に叙階され、2001年から13年まで総長も務めた。
聖アウグスチノ修道会は、13世紀に設立された修道会で、ローマ帝国時代の教父で、北アフリカの都市ヒッポ(現在のアルジェリア北東部の都市アンナバ)で司教を務めていた聖アウグスティヌス(354~430)の作った戒則に従うことを特徴としている。
EEAは聖アウグスティヌスについて、「キリスト教信仰の歴史において最も影響力のある人物の一人であり続けている」とし、「彼の神学的な遺産、特に神の恩寵に対する深い洞察は、教派を超えてキリスト教思想を形作り続け、マルティン・ルターのような宗教改革者たちにも影響を与え続けた」と指摘。「教皇レオ14世がこの神学上の伝統に従うならば、福音書の中心となる事柄について、より明確な対話を行う新たな機会がもたらされるかもしれない」と述べている。
聖アウグスチノ修道会の公式サイト(英語)によると、現在は世界50カ国で活動しており、その歴史は、1244年に当時の教皇インノケンティウス4世が、カトリック教会に奉仕していた隠修者らのグループを統合し、托鉢修道士(私有財産を持たない修道士)の共同体を結成したことにさかのぼる。
公式サイトは、聖アウグスチノ修道会について、イエス・キリストと聖アウグスティヌスの教えを根本としつつ、初期のキリスト教共同体に見られる「共同体の精神」(使徒言行録4章32~35節)を実践し、推進するために設立されたとしている。
EEAはメッセージの中で、大宣教命令に重点を置きながらも、さまざまなキリスト教的背景を持つ人々との友好的な関係を維持することの重要性を強調。社会のさまざまな課題への対処においては、他教派との協力は可能であり、重要だとする立場を示した。
「EEAとして、私たちは、他のキリスト教の伝統にある指導者やコミュニティーとの、友好的で原則に基づいた関係が重要であることを断言するとともに、真の霊的一致は聖書の福音の中にのみ見いだされることを認識しています」
「欧州全域において、各国の福音同盟は、社会問題や倫理問題において他のキリスト教の伝統(教派)と協力し、移民問題や気候変動問題、生命の保護、国家間の平和といった共通の関心事項について、敬意と責任をもって対話を行っています」
「私たちは、福音派としてのアイデンティティーを損なうことなく、共通の善に役立ち、人間の尊厳を守る分野において協力することは可能であり、また必要であると信じています。この新たな時期に、イエス・キリストの福音が明快かつ力強く宣(の)べ伝えられ、多くの人がイエス・キリストのみへの信仰によって救いに至ることができるよう、私たちは祈り、深く願っています」