2025年5月13日10時52分

ワールドミッションレポート(5月13日):インド パンジャブ州で拡大するリバイバル

執筆者 : 石野博

インド北部、パンジャブ州において、静かでありながらも確かな霊的覚醒が進行している。宗教的寛容で知られるこの地域において、シーク教徒を中心とする多くの人々が、イエス・キリストと出会い、人生を根本から変えられているのだ。祈りと奇跡的な癒やし、そして現地文化に根ざしたキリスト教の文脈化が、多くの人々の心を引き寄せている。

これまでパンジャブにおけるキリスト教は、小規模かつ伝統的な形にとどまっていた。しかし近年、ペンテコステ系教会が急速に成長しつつある。これは、地域の文化的要素を積極的に取り入れた「キリスト教のパンジャブ化」と呼ばれる現象によるものである。床に座って礼拝を行い、パンジャブ語による賛美や地元の楽器による賛美歌が用いられるなど、文化的な親しみやすさが、これまで宗教的変化に慎重だった人々の心の扉を開いている。

このムーブメントを支えているのは、幾つもの劇的な証しである。例えば、アンクル・ナルラはかつて重度のアルコール依存に苦しんでいたが、幻の中でイエスに出会い、回心した。今では130以上の教会を束ねるリーダーとして、多くの魂を導いている。

また、元受刑者のバジンダー・シンは獄中でキリストと出会い、祈祷会を始めた。その小さな集まりは、今では大規模な教会へと成長している。ラムジット・シンは元海軍士官であり、うつと絶望に沈み、自殺を考えるまでに追い込まれていた。しかし、人生のどん底でイエスと出会い、彼の人生は大きく変えられた。

さらに、パンジャブ州警察の警官グルナム・シンは、家庭崩壊の危機の中でキリストと出会い、家族が回復した。今では自宅の裏庭で毎週50人以上に聖書を教えている。彼は語る。「私は誰かを改宗させているのではありません。ただ聖書を語っているだけです」

このリバイバルの本質は、単なる信者数の増加ではない。むしろ、一人一人の人生が根本から変えられ、絶望の中から希望へと導かれることにこそ価値がある。ある信者の言葉が、それを象徴している。「キリスト教は神という存在を教えてくれました。しかし聖書は、その神にどのように出会うのかを教えてくれるのです」

パンジャブに吹いているこの新たな聖霊の風は、文化や宗教的背景の壁を越えて人々の心に深く届いている。この動きがさらに広がり、福音がなお多くの人々に届くようにと祈っていただきたい。

■ インドの宗教人口
ヒンズー 74・3%
プロテスタント 3・6%
カトリック 1・6%
英国教会 0・2%
イスラム 14・3%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。