ブータン王国は、ヒマラヤ山脈の東端に位置する内陸国であり、「龍の国(ドラゴン・キングダム)」の名でも知られている。面積は九州とほぼ同じ程度で、人口は約80万人。長らく外界から隔絶された独自の文化と仏教王制を保持してきた。
国家の根幹を成すのはチベット仏教の密教形態であり、ブータン政府は文化的・宗教的純粋性を守る名目で、外国の宗教や文化の影響を厳しく制限している。そのため、キリスト教をはじめとする外来の信仰は伝道が極めて困難であり、ブータンは世界でも福音が最も伝わっていない国の一つとなっている。
ブータンの土着宗教であるボン教は、すでに仏教に吸収・統合されたが、その霊的影響力は根強く残っており、今もオカルト的・悪魔的な要素が文化や精神生活に影を落としている。国王ワンチュクをはじめとする王族がイエス・キリストに出会い、神の愛と力を知ることができるよう、祈りが求められる。
国内にはゾンカ族(国民の多数を占める)、ツァンラ族、レプチャ族、ケン族、グルン族といったチベット・ヒマラヤ系の五大民族が存在するが、その中で比較的キリスト教徒の割合が多いのはレプチャ族に限られている。こうした民族の枠を超えて、キリストを信じる者たちが互いに交わり、ブータン全土で証しの共同体が築かれていくことが課題である。
なお、ブータンの公用語であるゾンカ語には新約聖書が翻訳されているが、他の多くの民族語にはいまだ聖書が存在しない。言語の壁もまた、福音の広がりを妨げている大きな要因である。
この「龍の国」が真の霊的自由に至る日を祈ろう。国内全ての民族と言語の人々に聖書が翻訳され、福音が届くよう、祈っていただきたい。
■ ブータンの宗教人口
仏教 74・6%
プロテスタント 1・9%
カトリック 0・2%
イスラム 0・5%
ヒンズー 22・4%
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