2025年5月8日13時59分

聖墳墓教会の床下発掘調査で貴重な発見、ヨハネ福音書の記述を裏付ける証拠に

聖墳墓教会
エルサレム旧市街にある聖墳墓教会の内部。中央に見えるのは、イエス・キリストの遺体が安置されたという石墓を囲んで建てられた「エディクラ」と呼ばれる聖堂。(写真:Akimov Konstantin / Shutterstock)

イエス・キリストの墓があったとされる場所に建つエルサレム旧市街の聖墳墓教会で行われている発掘調査により、イエスが十字架にかけられ、埋葬された場所に庭園があったとする、ヨハネによる福音書の記述を裏付ける証拠が発見された。

ヨハネによる福音書19章41節には、「イエスが十字架につけられた所には園があり、そこには、誰もまだ葬られたことのない新しい墓があった」と記されており、今回の発見はこの記述を裏付けるものとされる。

発掘調査は、聖墳墓教会の19世紀に造られた床の改修工事に伴うもの。同教会を管理する複数の教派のうち、アルメニア使徒教会、ギリシャ正教会、カトリック教会の中心的な3つの教派が、2022年に改修工事の開始に合意したことで始まった。

発掘調査で採取されたサンプルの考古植物学的分析や花粉分析により、この場所には約2千年前、オリーブの木とブドウの木が生育していたことが示されたという。発掘調査を指揮するフランチェスカ・ロマーナ・スタソラ教授(ローマ大学サピエンツァ校)は、タイムズ・オブ・イスラエル紙(英語)に対し、次のように語った。

「考古植物学的な発見は、ヨハネによる福音書に記された内容と照らし合わせると、特に興味深いものです。その情報は、当時のエルサレムに精通した人物によって書かれたか、収集されたものだとされています。ヨハネによる福音書には、カルバリ(イエスが十字架につけられた丘)と墓の間に緑地があったと書かれており、私たちはこれらの耕作地を特定したのです」

発掘調査ではまた、聖墳墓教会の歴史を明らかにする遺物も複数発見された。

4世紀にローマ皇帝コンスタンティヌス1世が建設した最初の教会の遺構の一部や同じ時期の硬貨、また、動物と魚の骨でできた中世の巨大な山などが見つかったのだ。動物や魚の骨は、十字軍時代の巡礼者や司祭が食べた物の残骸だと考えられている。