2025年4月5日15時14分

日本人に寄り添う福音宣教の扉(219)エンディングにおける音楽の役割 広田信也

コラムニスト : 広田信也

音楽とは、音の長短・高低・強弱・音色などを組み合わせ、肉声や楽器で演奏する音による芸術とされています。音楽のリズム、メロディー、ハーモニーといった要素が、脳の活動を活性化させ、私たちの霊性を引き上げて祈りを深め、ストレス解消や創造性の発揮、コミュニケーション促進などの効果をもたらしてくれるのでしょう。

私たちにとって音楽は、目に見えるものではありませんが、祈り心を整え、人間性を豊かにしてくれる大切な存在なのでしょう。

召されようとする人の傍らで

私たち(全国牧師連携)は、葬儀相談を受ける際、生前に当事者を訪問させていただく用意のあることをお伝えします。

相談者は、大切な家族が召されようとするわけですから、本当は葬儀の準備をするのはつらいことだと思います。既に介護者や医療関係者の領域を離れ、目前に迫った「死」の不安と闘っておられることが多く、牧師としてそばに寄り添わせていただけるようにお願いをします。

このような唐突な申し出に対し、遠慮される方や、費用を心配される方には、無償で寄り添う「善き隣人バンク」の働きをご紹介し、訪問を受け入れてくださるように勧めます。そして、それぞれの地域の牧師によって病院やご自宅への訪問がかなうとき、たとえ当事者が「死」を目前に苦しそうにしておられても、意識が既になかったとしても、多くのドラマがその場に展開していきます。

ご家族から当事者の人生を聴かせていただき、弱さの極限で共に祈り、静かにゆっくりと賛美歌を歌います。励ましたり、解き明かしたりするのではなく、当事者やご家族と共に、天国を思い描く時間が流れていきます。

音楽(賛美)を通して天国が舞い降りる

音楽と祈りは、確かに「死」の弱さに直面する当事者やその家族の祈り心を開放し、神様が天国の前味を備えてくださいます。大切な家族(当事者)が、神様の懐に抱かれる様子を心に描く時になるのです。「死」に向かうつらさの中、音楽(賛美)を通し、目には見えない天国の祝福が舞い降りてくるのです。

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広田信也

広田信也

(ひろた・しんや)

1956年兵庫県生まれ。80年名古屋大学工学部応用物理学科卒業、トヨタ自動車(株)入社。新エンジン先行技術開発に従事。2011年定年退職し、関西聖書学院入学、14年同卒業。16年国内宣教師として按手。1985年新生から現在まで教会学校教師を務める。88~98年、無認可保育所園長。2014年、日本社会に寄り添う働きを創出するため、ブレス・ユア・ホーム(株)設立。21年、一般社団法人善き隣人バンク設立。富士クリスチャンセンター鷹岡チャペル教会員、六甲アイランド福音ルーテル教会こどもチャペル教師、須磨自由キリスト教会協力牧師。関連聖書学校:関西聖書学院、ハーベスト聖書塾、JTJ宣教神学校、神戸ルーテル神学校