2025年4月5日11時55分

ワールドミッションレポート(4月5日):ウズベキスタンのとある小さな村のモスク

執筆者 : 石野博

ウズベキスタンは中央アジアに位置する内陸国で、古代シルクロードの要所として栄えた歴史を持つ。首都はタシュケント、公用語はウズベク語。イスラム文化が色濃く、サマルカンドやブハラなどの美しい歴史都市が有名だ。

7世紀後半、アラブ帝国の拡大とともにイスラム教がウズベキスタン地域に伝わり、次第に定着していった。表向きは宗教の自由が認められているが、実際には厳しく監視されており、キリスト教徒、特にイスラムからの改宗者は家族や地域社会から強い圧力にさらされる。

数年前、キリストにある姉妹グルノラは、ウズベクのある村を訪れた。「その時、ムッラー(イスラムの宗教指導者)は、村を訪れた私に、新しく建てたモスクを誇らしげに案内してくれました。彼は私がキリスト教徒であることから、あるいは私が否定的な印象を持っていると予想していたのかもしれません。しかし私は、彼らのモスクのデザインを褒めて、『神のことばがここで語られるように願っています』と伝えたのです」

グルノラはその時の出来事をこう続けた。「私がウズベク語の新約聖書をムッラーに渡すと、彼は驚いた様子でそれを受け取りました。すると彼は、聖書に唇と額を付け、最後には胸に抱きしめたのです。周囲には何人かの男性たちが集まっていましたが、ムッラーがそれほどまでの敬意をもって新約聖書を受け取ったのを見て、彼らも聖書を欲しがりました。けれど残念ながらその時、私はそれ以上の聖書を持ち合わせていなかったのです」

そしてグルノラは、最近になって再びその村を訪れた。彼女の訪問を聞きつけたムッラーは、道の途中まで迎えに出て来た。彼は遠くから声を上げてこう言った。

「娘よ! よくまた来てくれたね! 前に来たとき、私にウズベク語の新約聖書をくれたのを覚えていますか? あれをもらって本当に感謝しています! 今では、金曜日ごとにモスクで何を読めばよいかが分かるようになったのです! 今の私には、私の言語で書かれた、神への道を示す聖なる書物があるのです。他の本は理解するのが難かし過ぎる。しかし、この本は明瞭で分かりやすく、説教の準備にとても役立っています。そして人々に希望を与える助けにもなっているのです!」

なんとこの村のムッラーは、新約聖書からの助けを得て、金曜日のモスクでの礼拝説教を説いているのだ。主の御名をたたえよう! ウズベキスタンの人々が、新約聖書が提示する福音と希望に目が開かれ、多くの人々の救霊につながるように祈っていただきたい。

■ ウズベキスタンの宗教人口
イスラム 84・9%
プロテスタント 0・4%
カトリック 0・01%
無神論者 13・8%
正教会関係 0・3%
ユダヤ教 0・2%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。