2025年2月26日09時50分

ワールドミッションレポート(2月26日):韓国はなぜこれほど多くの宣教師を送り出しているのか(1)

執筆者 : 石野博

東アジアの宣教大国である韓国だが、彼らの世界宣教の歴史は比較的新しいものだ。韓国教会が、最初の24人の宣教師を派遣したのは、1974年のことだった。その数は飛躍的に増加し、およそ50年後の2023年、さまざまな教派からなる2万1917人の韓国人宣教師が174カ国で奉仕している(韓国世界宣教協議会=KWMA=より)。

世界中のキリスト教徒は、韓国が福音のない国から世界最大の福音輸出国の一つに急成長を遂げたことに驚嘆している。韓国バプテスト連盟海外宣教局の会長であるイ・ジェキョン氏は以下のように述べる。

「私の国の宣教実践は完璧ではありませんでした。しかし韓国の教会が、神の恵みによって、これほどまでに宣教できるようになったのには、幾つかの要因があったからだと思います」。そう言って彼は、8つのポイントでそれを説明している。以下はイ氏の説明だ。

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①迫害下における教会の忍耐

韓国は1945年まで日本の植民地支配下にあり、キリスト教は弾圧されていました。当時、韓国には約35万人のクリスチャンがいました。彼らは迫害によって強められ、南部バプテスト連盟のような深い信仰に根ざしたキリスト教組織と提携しながら、信仰を分かち合うために出ていったのです。その結果、教会は爆発的に成長し、65年には120万人、85年には1千万人のキリスト教徒が誕生したのです。

②祈りと従順の優先

韓国の教会には、朝5時に教会に行き、礼拝と祈りをささげてから出勤するという伝統があります。そして、その夜明け前祈祷会を通して、神は多くの韓国人を宣教師として召されたのです。

韓国人は情熱的な人々です。神が導いてくださるなら、たとえ、それが合理的ではないと思えることであっても、アブラハムがしたように、どこに行けばいいのかさえはっきり分からないまま、喜んで行くのです。韓国の宣教師たちは、神が自分たちの生活を支えてくださると信じています。

③海外渡航禁止の解除

1988年のソウルオリンピック開催を成功させた後、韓国政府は、韓国人の海外渡航制限を解除し、渡航の自由を許可しました。犯罪歴さえなければ、韓国人は誰でもパスポートを取得し、自由に海外に行くことができたのです。

これが転機となり、以後、韓国人宣教師たちは世界中に活動の場を広げていったのです。(続く)

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■ 韓国の宗教人口
プロテスタント 35・3%
カトリック 9・2%
仏教 23・7%
儒教 2・7%
イスラム 0・3%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。