2025年2月24日10時00分

ワールドミッションレポート(2月24日):ポーランド 険しい地を平らに(2)

執筆者 : 石野博

刑務所伝道を通じて主イエスを信じた、受刑者パベル(本名は伏せてある)の証しの続きだ。(第1回から読む)

パベルは、高校を卒業後すぐに働き、その時に交際した女性から手痛い裏切りを受け、自ら命を絶ったのだった。しかしそんな彼に神の御手が臨み、自宅で4日間も意識不明だった彼を古い友人が偶然訪れて発見し、奇跡的に一命を取り留めたのだった。

パベルは病院でヨハンという伝道者から聖書をもらい、読み続けた。退院後、そんな彼は2人の子どもがいる女性と交際を始め、一人の子どもが与えられた。ところが、状況はまたしても暗転したのである。

「私は日々の忙しさや問題に追われ、神のことを忘れ、聖書を読んでいませんでした。交際していた女性とは一緒に暮らし始めて3年後、何かがおかしくなりました。彼女は子どもたちを連れて、私を置いて出て行ってしまったのです」

パベルは慰めを求めて酒に頼った。飲酒の量は日ごとに増え、飲まない日がないほど酒に溺れたのだ。そして人生が完全に狂ってしまった。ついに彼は、刑務所に入ることになってしまったのだ。

「ある日、受刑者の一人と歩いていると、彼は刑務所で毎週開かれている聖書集会について教えてくれて、私も来るようにと勧めてくれたのです。私は彼と一緒に、ヨハンが主宰する集会に行きました。そしてこの集会に参加したことは、決して偶然ではありませんでした。神は、決して誇れるような場所ではない刑務所で、再びヨハンに会わせてくれたのです!」

パベルは、ヨハンと受刑者のグループと共に聖書の勉強を始めた。聖書を読み、学ぶうちに、彼はイエスに全生涯をささげることを決意したのだ。そして2024年10月、ヨハンは刑務所内で洗礼式を行い、その時に洗礼を受けたのが、パベルともう一人の受刑者だったのだ。

「その日、私は命を取り戻しました。平和と喜び、希望が戻ってきたのです。今主イエスを心に抱くことで、神は私を導き、私の人生を整えてくださっているのがよく分かります。私は学び、祈っています。そして私は決してもう神から離れません。神が私をつかんで離さないからです。私は人生の終わりまで、最後まで主に従います」

刑務所とは無縁の善良な人生を過ごしてもイエスを知らないよりは、たとえ刑務所に入ってしまうような罪深い人生を送ってもイエスに出会う方が、比較にならないほど素晴らしいものだ。そう、キリストこそは、信じた者には全てなのである。

聖書は言う。「すべての谷は埋め立てられ、すべての山や丘は低くなる。盛り上がった地は平地に、険しい地は平野となる」(イザヤ書40章4節)と。あんなに険しい地のようだったパベルの人生は、魂の牧者のもとで今は平らかにされ、平安を得たのだ。

ポーランドの刑務所伝道のために、また刑務所伝道に励むヨハンのような奉仕者のために祈っていただきたい。

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■ ポーランドの宗教人口
カトリック 85・7%
プロテスタント 0・6%
正教会関係 1・5%
無神論者 10・1%
ユダヤ教 0・01%
イスラム 0・1%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。