2025年2月21日11時19分

ウクライナ侵攻3年、欧州福音同盟が声明 現状「嘆く」が「希望」持ち続ける

ウクライナ戦争
激戦地となったウクライナ東部ドネツク州バフムート近郊でロシア軍と交戦するウクライナ軍の砲兵ら=2023年3月21日(写真:Credit: Drop of Light / Shutterstock)

ロシアがウクライナに軍事侵攻してから3年になるのを前に、欧州福音同盟(EEA)は17日、戦争によってもたらされた現状を「嘆く」としつつも、「希望」を今も持ち続けているとする声明(英語)を発表した。

声明は、停戦などを協議するためにここ最近始まった米国とロシアの高官会合にも言及。会合には当事者であるウクライナは参加しておらず、「ウクライナの意見がどの程度聞き入れられ、彼らの願いが尊重されるかどうかは、時がたてば分かることになる。今こそ、これまで以上に祈るべき時だ」と訴えている。また、ロシアのウラジミール・プーチン大統領に対しては、停戦に応じ、全ての軍隊を撤退させるよう要求している。

声明は、侵攻から3年となる24日の1週間前に合わせて発表された。EEAはこの中で、「嘆く」という言葉を12回も使用。ウクライナの領土にとどまり続けるロシアの軍隊や兵器、数十万人にも上る戦死者、避難を強いられている女性や子どもたち、国と家族を守るために死傷した兵士らへの悲しみを表明した。

また、「真実よりもプロパガンダの方が多いことを私たちは嘆きます」とし、「私たちは常に真実を擁護し、それが誰かの目的のために無視されるときはいつでも嘆きます」と続けた。さらに、「神の名が侵略や(領土)拡大、そして絶え間ない抑圧を正当化するために使われてきたことを、私たちは深く嘆きます」と述べ、信仰を利用して戦争を肯定してきた人々を批判した。

その一方で、「私たちは嘆きますが、希望がないわけではありません」と指摘。「真実が、語られたうそを打ち負かすという希望を、私たちはしっかりと持ち続けます。慈悲、思いやり、平和が、憎悪、怒り、暴力を打ち負かすという希望を持っています」と続けた。

「私たちは、神がロシアとウクライナの両国でその名を知らしめ、その名が平和の君、愛と正義の神として理解されると信じています。私たちは、平和と和解の可能性がまだあるという希望を固く持ち続けています。欧州のキリスト者として、私たちは絶望と無力感に屈することを拒みます」

また、「不正、暴力、殺人を目にしながら沈黙することを拒みます」と表明。各国の指導者らに対し、「暴力と破壊によって自分の思いを通そうとする勢力に、圧力をかけ続けるよう求めます」と訴えた。

その上で、プーチン氏に対しては、「この戦争をやめ、全ての軍隊を撤退させるよう求めます」と要求。ロシアの領土を国際法で定められた国境内にとどめるよう求めた。

最後には、「私たちは希望と愛と平和の民です。正義と慈悲を信じています」とし、最終的な和解に至るまで、祈ることをやめないと強調。「私たちは愛に駆り立てられ、弱者や抑圧された人々のために立ち上がることを決意しています。(戦争は)3年で十分です」と続け、持続可能な平和と正義のために祈るとした。