2025年1月28日09時47分

ワールドミッションレポート(1月28日):ミッションとしてのビジネス(5)

執筆者 : 石野博

さて、ビジネスの潜在的な変革力を示す、インドネシアでのストーリーを紹介しよう。あるイスラム教徒の村が、祈り、キリスト者のビジネスマン、そしてフクロウによってどのように変容したのか、以下はビジネスコンサルタントのマッツ・トゥネハグ氏による説明だ。(第1回から読む)

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その日は、インドネシアでも蒸し暑い日でした。スウェーデン人の私には暑すぎるくらいです。しかし、そこにあったものは涼しさ以上のものでした。私はイスラム教徒の小さな村の村長と一日を過ごしました。

私たちは彼の家の外に座ってお茶を飲み、果物やナッツ、お菓子をかじっていました。彼は熱心ですが、極めて落ち着き払っていました。敬虔なイスラム教徒の彼は、彼自身でも驚くほどキリスト教徒のビジネスマンを評価するようになっていたといいます。インドネシアでは、イスラム教徒とキリスト教徒の間にある深刻な不信と緊張の歴史が長く、時にはそれが暴発することがあるのです。

村長の話によると、この村は、昔はかなり貧しかったといいます。ネズミは毎年農作物の40%を食べ、病気もまん延していました。かんがいのための協力体制も存在していませんでした。起業家精神も乏しく、変化を祈ることなど誰も考えていないようだったのです。

そんなある日、キリスト者のビジネスマンたちが村長と彼の村を訪れました。彼らは宗教的な隔たりを越えて橋を架けたい、助けたいと、純粋な動機で村を訪れました。しかし村長は当初、彼らの善意を断っていたのです。「なぜ慈善団体や政府関係者ではなく、ビジネスマンが来たのか。その上、彼らはキリスト教徒であり、イスラム教徒ではない」という具合です。

しかし、あるキリスト者の実業家が、ビジネスは無理でも、少なくとも祈ることはできないでしょうかと提案しました。彼女は「祈りは変化をもたらすことができます。神は変化をもたらすことができるのです」と言いました。そう、確かに神は変化をもたらされたのです。何かが起こり、それが転機となりました。村長は、キリスト者の実業家グループにまた来るように呼びかけ、彼らはそうしたのです。(続く)

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。