2025年1月25日19時37分

ワールドミッションレポート(1月25日):ミッションとしてのビジネス(3)

執筆者 : 石野博

スウェーデンのビジネスコンサルタント、マッツ・トゥネハグ氏が「ミッションとしてのビジネス」(BAM)という概念をどのように発見し、それが神の使命に対する彼の視点をどのように変えたかを語る。以下は彼自身の言葉だ。(第1回から読む)

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ソビエト連邦を覚えていますか。中央集権型の計画経済を持つ共産主義国家で、人権侵害がまん延し、市場で行動する自由もありませんでした。私はそこで、機能不全に陥った国家を目の当たりにしました。それはまるで土の足を持つ巨像のようで、最終的に1991年12月、ソビエトは崩壊したのです。

この当時、連邦だったソビエトは、1つの国家が15の国に解体されました。1つの通貨が15の通貨になったのです。そして、1つの壮大で人為的な中央集権的経済システムが崩壊し、新たに15カ国が再編成され、市場原理で動く世界経済に適応しなければならなくなったのです。

私はカザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタンといった中央アジアの「スタン」の国々を旅して、仕事をし続けました。しかし私がそこで経験したのは、地政学的な変化や混乱だけではなかったのです。多くのキリスト教関係機関が世界中からこの地域に集まり、また、イスラム教を背景に持つ人々がイエスに従うようになり、キリスト教信仰の目覚ましい成長も目の当たりにしたのです。

同時に、失業と雇用の不安定が急激に増加しました。それは私たちの多くが想像もつかないような規模だったのです。それに伴い、さまざまな社会問題が発生しました。イエスに従う私たちは、この必要性にどう応えればいいのでしょうか。ビジネスマンが必要でした。しかし、教会や宣教機関は、このような課題に対処する資格のある人々に声をかけようとはしなかったのです。

そこで1990年代半ば、私たちは中央アジア地域のニーズと機会に、ビジネスに携わるクリスチャンをどのように関与させ、備えさせ、結び付けることができるかを模索し始めました。私たちは、中央アジア・ビジネス・コンサルテーションを開始して10年間運営したのです。耳を傾け、学び、分かち合い、つながるためのプロセスやネットワークの開発など、学んだ教訓は、後にBAMに関する世界的なシンクタンクを発展させる基礎となったというわけです。(続く)

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。