2025年1月14日11時53分

ワールドミッションレポート(1月14日):ケニア 愛と憐れみ、善意の輪が生み出す考えられない波紋(3)

執筆者 : 石野博

4歳で父親を失い、学問とは全く無縁の、ケニアのへき地の牧童だった少年は、ワールド・ビジョンが提供するチャイルド・スポンサーシップによって学問をする喜びを知った。彼は読書を愛し、聖書との出会いによって人生が劇的に変えられたのだ。そう、無学な牧童の少年は、ケニア聖公会の大司教にまでなったのである。善意と与える祝福は連鎖し、かつての受け取る側に過ぎなかった少年は、今では惜しみなく豊かに与える側へと変えられたのだ。(第1回から読む)

「私の使命は、聖霊に導かれて、私たちの能力と知識を最大限に発揮して奉仕し、御国を広げることです。私の関心事は、特に子どもたちと若者たちにあります。彼らこそがこの国の未来そのものだからです」

彼は、自分が少年だったころに自分の支援者となってくれたあの人、あの家族に思いをはせ、彼らがいなかったら、今の自分の人生は何もなかっただろうと感慨深げに語る。「小学校と中学校の教育を受けることのできた最初の支援がなかったら、今の私は存在していなかったでしょう。私は永遠に感謝しています」

彼は、今の自分の人生や生活を形作ってくれたコミュニティー、そして何より神の恵みに感謝し、どうすればもっと恩返しができるかを考えている。聖書は言う。「あなたのパンを水の上に投げよ。ずっと後の日になって、あなたはそれを見いだそう」(伝道者の書11章1節)と。

与えることは、時としてパンを水の上に投げるように、無駄に見えることがある。しかしそれは、ジャクソンの証しが証明しているように、ずっと後の日になって、豊かな祝福を刈り取るのだ。

諦めずにパンを投げ続けよう。その善意の働きには必ず報いが伴う。いや、そればかりか、それは大きな波紋となって善意と祝福が拡大し、連鎖するのだ。こんなに有望な未来の希望のための先行投資が、他にあるだろうか。

貧しい国の貧しい子どもたちに善意を投じ続ける働きのために祈ろう。ケニアが、愛と福音の善意で満ちるように祈っていただきたい。

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■ ケニアの宗教人口
プロテスタント 56・8%
カトリック 21・5%
英国教会 8・9%
正教 0・8%
土着宗教 7・2%
イスラム 8・3%
ヒンズー 0・4%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。