2024年11月24日08時24分

ワールドミッションレポート(11月24日):アルバニア 破壊し尽くされた家庭に回復と希望をもたらす神(1)

執筆者 : 石野博

ドニカは、ほとんどの人が経験したことのない形で救いを理解した。彼女はアルバニアでエジプト人として育ち、極めて少数派の一員として過ごしてきた。家族はイスラム教の伝統を持っていたが、すでに信仰心を失っていた。

彼女の家族は神について話したり信じたりすることはなかった。それはアルバニアが共産主義独裁政権時代、宗教の実践を許していなかったためである。彼女は言う。「『私の両親、つまりあんたにとっての祖父母は、神について話すのを恐れていたんだよ』と母が話してくれました。そして母は私にこう言いました。『神なんていないんだよ』と」

ドニカは子どもの頃、命の危険に関わる事故に巻き込まれた。「家が火事になり、その中に閉じ込められてしまったんです。子どもながらに命の危険を感じました。でも母が家に入り、私を救い出してくれたのです。私は彼女がどうしてそんなことができたのか不思議で、いつもそのことを考えていました」

ドニカの村では、女の子が教育を受けることは珍しかった。しかしドニカの場合、彼女は学校に通うことができた。ドニカは両親に従順で、家族に迷惑をかけることはなかった。彼女は学校を卒業すると、ボマニという男性と結婚し、5人の子どもをもうけたのだ。

1990年、アルバニアで共産主義が崩壊すると、信教の自由が認められるようになった。「その後、私の家族はイスラム教を信仰するようになりました。私たち家族の信仰的背景がイスラムだったからです。私は家族と一緒にモスクに行き、アッラーに祈ろうとしました。でも、何も感じませんでした。アッラーは私にとって遠い存在でした。それで私は、モスクに行くのをやめたのです」

その頃、ドニカの家族は経済的な問題に直面していた。「子どもたちが成人すると、彼らはアルバニアを離れ、より良い機会を求めて欧州の他の地域に出て行ってしまったのです。夫のボマニと私はとても貧しかったので、古い物を路上で売ってお金を稼ぐことを始めました」(続く)

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■ アルバニアの宗教人口
イスラム 80・3%
プロテスタント 10・8%
カトリック 3・1%
儒教 0・9%
仏教 0・4%
ヒンズー教 1・3%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。