2024年11月1日08時48分

ワールドミッションレポート(11月1日):中国 ある女性信者の力強い証し(1)

執筆者 : 石野博

中国のキリスト者フェンは、イエスへの信仰のために圧力や抑圧を受けることがどういうことなのかをよく知っている(安全上の理由から、登場する人物の本名は変えてある)。彼女は、信仰のために深く傷つけられた家族を目にしてきたし、友人や家族に信仰を伝えることのリスクも熟知している。そして、信仰のために警察に手錠をかけられ、街頭で引き回されたこともある。

しかし、この60歳の女性は、これらの出来事にもかかわらず、キリストへの忠誠を保ち続けているのだ。彼女の証言と信仰の証しは、奇跡の連続と大胆な信仰の表明であり、全ての信者が彼女の経験を通して、信仰の何たるかについて学ぶことができるだろう。

フェンと夫のロンは1990年代にキリストを受け入れた。ロンは長期にわたり慢性疾患に苦しんでいた。2人の子どもの母として、フェンは夫の病気が悪化するのを恐れていた。もし夫に何かあれば、自分一人で家族と義母を養うことができるとは到底思えなかったのだ。

「夫は胃の調子が悪く、医師でさえ原因を特定できませんでした」とフェンは説明する。「しかし、病棟にいた一人の看護師がキリスト信者だったのです。彼女は、夫を癒やすことのできる本があると私に話してくれました」

最初、フェンは看護師の言葉を信じていなかった。どうして本が人を癒やすことができるのかと疑問に思っていたのだ。フェンは夫と共に病院を出た。その時には、看護師の助言についてはほとんど考えなかった。フェンは、霊媒の祈祷師のところへ夫を連れて行ったが、ロンの症状は良くなるどころか悪くなる一方だった。

そんなある夜、フェンは夢を見た。「私は田んぼに立っていて、突然辺りが暗くなり、とても怖くなりました」と彼女は回想する。「驚いたことに、空から光が降りてきて、それが人の形となって私の前に立ったのです。その人は私の名前を呼び、『フェン、恐れることはない』と言ったのです」。そこで彼女は目を覚まし、それは単なる夢に過ぎないと自分に言い聞かせた。彼女はこの夢を無視して、再び眠りについた。

ところが別の夜、彼女は再び夢を見た。フェンは丘の上に立っていて、洪水を目撃したのだ。「私は家の中にいました。すると突然、光が現れ、私はその光に従って家の外に出たのです」と彼女は思い出す。そしてその夢を見た3日後、キリスト信者であるあの看護師が、聖書を持ってフェンとロンの家を訪ねて来たのだ。(続く)

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■ 中国の宗教人口
プロテスタント 6・4%
カトリック 1・6%
無宗教 44・4%
儒教 28・5%
仏教 12・5%
イスラム 1・9%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。