ローマ教皇フランシスコは6日正午のお告げの祈り(アンジェラスの祈り)で、東京大司教区の菊地功大司教(65)を含む21人を枢機卿に任命すると発表した。枢機卿はカトリック教会で教皇に次ぐ高位聖職者。12月8日に行われる枢機卿会議(コンチストーロ)で正式に叙任される。
日本人の枢機卿は、2018年に叙任された大阪大司教区(現大阪高松大司教区)の前田万葉大司教に続き7人目。一方、他の枢機卿5人は既に死去していることから、存命者としては前田大司教と菊地大司教の2人のみとなる。
この他、日本に関係のある人では、上智大学副学長を務めていたルクセンブルク大司教区のジャンクロード・オロリッシュ大司教が19年、枢機卿に叙任されている。
菊地大司教は1958年、岩手県宮古市生まれ。86年司祭叙階。2004年司教叙階。同年から新潟司教を務め、17年から東京大司教。現在、日本カトリック司教協議会会長、アジア司教協議会連盟(FABC)事務局長。
1995年にコンゴ民主共和国(旧ザイール)に設置されたルワンダ難民キャンプでボランティア活動をして以降、カトリックの慈善団体「カリタス」の働きに携わっている。昨年には、国際カリタスの総裁に選出された。
菊地大司教は、自身のフェイスブックに「皆様のお祝いの言葉に感謝いたします。驚きました。恐れにとらわれました。自分の足りなさに慄然(りつぜん)としています」とコメント。枢機卿の任命は、日本の教会、東京大司教区、アジアの教会、国際カリタス、それぞれにとって名誉だと述べた。
また、菊地大司教が所属するカトリック修道会「神言会」の会員が今回、自身を含め2人任命され、戦後すぐに叙任された北京大司教区の田耕莘(でん・こうしん)大司教以来であることにも言及した。その上で、「どうかこの重責を十分に果たすことができるように、また教皇様の信頼に応えることができるように、皆様のお祈りをお願いいたします」と求めた。
枢機卿は教皇の最高顧問として、重要な案件について教皇を直接補佐する枢機卿団を構成するほか、個々の枢機卿はカトリック教会全体に関わる日常的な職務について教皇を助ける。バチカンの要職も多くは枢機卿が担っている。選出は教皇自身が行い、任期はない。80歳未満の枢機卿は、教皇選挙(コンクラーベ)の投票権を有する。
今回任命された21人のうち、80歳未満は菊地大司教を含む20人で、80歳以上は1人のみ。バチカン・ニュース(日本語版)によると、新たに21人が叙任された後の枢機卿の総数は256人、このうち80歳未満は141人、80歳以上は115人となる見込み。
日本の歴代枢機卿は下記の通り。敬称略。( )内は任命年と没年。職位は任命当時。
土井辰雄(1960年、70年) 東京大司教
田口芳五郎(1973年、78年) 大阪大司教
里脇浅次郎(1979年、96年) 長崎大司教
白柳誠一(1994年、2009年)東京大司教
濱尾文郎(2003年、07年) 教皇庁移住・移動者司牧評議会議長(元横浜司教)
前田万葉(2018年) 大阪大司教