2024年10月4日10時48分

励ましの言葉が人を生かす 菅野直基

コラムニスト : 菅野直基

ある駅で、ホームレスの男性がボールペンを売っていました。一人のビジネスマンがやって来て、100円を払ってすぐ電車に乗りました。しかし思い直して、次の駅で降りて戻ってきました。

「代金を支払ったのに、品物を受け取ることを忘れていたよ。あなたは私と同じビジネスマンだ。ビジネスとは、正当な価格で商品を売ることだからね」と言い残して立ち去りました。

数カ月後、ビジネスマンの前にピシッとしたスーツを着こなしたセールスマンが歩み寄って、自己紹介しました。「きっと私のことを覚えていないでしょうね。でも、私はあなたを忘れません。あなたは、私に自尊心と自信を取り戻してくれた恩人です。ホームレスの私を『ビジネスマン』と呼んでくれました。ありがとうございました」

たった一言の励ましの言葉が、人に計り知れない大きな力を与えることを教えてくれる話です。

振り返ってみると、私の人生の中で、私を励ましてくれた数多くの恩人がいます。マイナスの評価を受けて自信を失い、「どうぜ私は神様にも、人にも役に立たない存在なんだ!」と落ち込んでいたときに、いつも力強い励ましの言葉をかけてくれる人がいました。

ある時は、神様が直接声をかけてくれました。しかしある時は、神様が人を通して励ましてくださいました。その言葉が自信を回復させ、立ち上がる力を与えてくれました。一人一人の恩人に感謝しています。

人から期待され、評価され、認められることによって、下を向いて人生を諦めかけていた人が再び立ち上がる力を得ることができます。イエス・キリストの弟子のペテロも、その一人でした。イエス様から祈られ、失敗を赦(ゆる)され、期待され、評価されて、挫折から立ち直ることができました。

「わたしは、あなたの信仰がなくならないように、あなたのために祈りました。だからあなたは、立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい」(ルカ22章32節)

後にペテロは、初代教会の中心人物となり、多くの人を励まし、立ち上がらせる伝道者・牧師となりました。私たちも、きっと励ましの言葉によって何度も助けられてきたと思います。今度は、出会う人一人一人に励ましの言葉をかけてあげられる人になりたいですね。

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菅野直基

菅野直基

(かんの・なおき)

1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッションなどの地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での賛美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式など、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。

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