2024年9月24日10時36分

ワールドミッションレポート(9月24日):15時間ごとに新しい聖書翻訳プロジェクト

執筆者 : 石野博

1999年、ウィクリフ聖書翻訳協会とそのパートナーたちは2025年までに、聖書が未翻訳の全ての言語で翻訳プロジェクトを開始するという大胆な目標を設定した。

当時は、このペースで続ければ150年の歳月がかかると推測され、その作業は途方もないものに思えた。しかし、不可能を可能にする神への信仰により、彼らは「ビジョン2025」を立ち上げた。このプロジェクトは、必要性から生まれたビジョンなのである。

1990年代までの聖書翻訳ペースは遅過ぎた。そのため何百万人もの人々がまだ母国語で聖書を読むことができないでいたのだ。そこでウィクリフとそのパートナーは、この状況を変えなければならないと考えたのである。彼らは、革新、協力、神の導きに焦点を当て、アプローチを再構築した。そのビジョンとは、単に言葉を翻訳することではなく、神の言葉を誰もが利用できるようにすることで、地域社会とその生活を変革することにあった。

今日、「ビジョン2025」に向けた前進は奇跡的としか言いようがない。数人が共有したビジョンとして始まったものが、今では世界的なムーブメントとなったのだ。ニカラグアのような国ではすでに「ビジョン2025」が達成された。これは地元の教会が積極的に協力し、聖書翻訳プロジェクトを担当しているからだ。

またスウェーデンでは、ろう者のコミュニティーに対して、スウェーデン手話によるパウロの手紙の全訳を初めて提供する取り組みが進められている。南スーダンでは、ジエ族コミュニティーが、さまざまな音声フォーマットで配布される初の口語訳の音声聖書を心待ちにしている。

2024年7月時点で、新しい聖書翻訳プロジェクトは15時間ごとに開始されている。これは、平均120時間ごとだった19年の状況から大幅に加速したことになる。

「ビジョン2025」は単なる目標ではない。それは、世界の教会が立ち上がって、神の言葉を広める主導権を持つための触媒となっているのだ。25年までにプロジェクトが完全に達成されるかどうかはまだ分からないが、その影響は肯定的かつ積極的なものとなっている。

神は今、かつて想像もできなかったような方法で、人々をご自身のもとに引き寄せているのである。聖書翻訳がさらに加速度的に進み、人々がますます命の言葉に触れることができるように祈っていただきたい。

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。