2024年9月8日19時54分

ワールドミッションレポート(9月8日):アフガニスタンでイエスを信じることとは(2)

執筆者 : 石野博

厳格なイスラム教の家庭環境で育ったカーダ(仮名)だったが、彼女の生活は結婚を機に一変した。イスラム社会には珍しく、妻を尊重し愛する夫との新生活によって、カーダは今までの重圧から解放され、全てが順調に進んでいたのである。(第1回から読む)

人々との関係もうまくやっていたカーダは、結婚後しばらくすると仕事をするようになった。彼女は仕事を楽しんでいたし、同僚たちにも好かれていた。カーダは、中でも彼女の女性上司と仲良くなり、親しい友情を築いたのである。

「私たちは友情を深めました。上司ではありましたが、彼女の前で私は自由に振る舞えました。私は自分の人生の全てを彼女に話すことができたし、彼女も私に自分の人生の話をしてくれたのです」

お互いの友情がさらに深まると、互いの信頼も増し加わった。彼女たちの間に築かれた強固な信頼関係は、アフガニスタンのような国では重大な危険の伴うリスクをカーダの上司に冒させることとなった。その上司が冒したリスクこそは、カーダの人生を永遠に変えるものだったのである。

「最終的に、彼女は何の説明もなく、私に一冊の本をくれました」とカーダは当時を思い出す。「それが聖書だったのです」

カーダはその聖書をバッグに入れ、家に持ち帰った。彼女はその聖書を夫に見せた。二人は幼少期からコーランを学んでおり、聖書については何となく聞いていた。しかし多くのアフガニスタン人がそうであるように、彼らのそれまでの人生で、聖書を読むチャンスは全くと言っていいほどなかった。ところが面白いことに、彼らは二人とも、聖書に何が書かれているのか、ずっと興味があったというのだ。

彼らが聖書を手にしてからの6カ月間、夫婦は一冊しかない聖書を二人で一緒に読み始めた。そして彼らは、聖書のページをめくるたびに、そこに書かれていることに興奮を覚えたのである。

「その本を家に持ち帰り、夫と一緒に読み始めたとき、最初は多くの疑問が浮かびました。私たちはその疑問を二人で解決していきました。夫は私をとても愛してくれていて、私たちはいつも同じ道を選びました。だからその本を読んだときにも、夫は私に『君がどんな道を選ぼうとも、僕は君の最愛の伴侶であることに変わりはないし、いつまでも君と共にいるよ』と言いました」

二人は聖書をたくさん読んで話し合いを重ねた後、共にイエスに従うことを決意したのである。(続く)

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■ アフガニスタンの宗教人口
イスラム 99・85%
クリスチャン 0・05%
ヒンズー 0・01%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。