2024年7月14日20時25分

ワールドミッションレポート(7月14日):ネパール 福音を伝えるために山々を越える伝道者たち

執筆者 : 石野博

ネパールは、エベレストを含む世界の最高峰10座のうち8座があることで知られている。ヒマラヤ山脈はネパール北部を縦断しており、険しい地形のため、人里離れた集落へのアクセスは困難を極める。

最近、ネパール北西部のこのような山々で、アミールというネパール人のクリスチャンリーダーが、仲間の信者たちと共に山頂に登った。この人たちは、ある目標を掲げていた。彼らは次の山の稜線を見渡し、薄れゆく夕暮れの中で、心を揺さぶる何かを見たのだ。そう、暗くなるにつれて、山の向こうの村々に明かりがともり始めたのである。そこには、チベットに至るまで、近くに信者も教会も証し人もいない村がたくさんあったのだ。それらの福音を聞いたことすらない人々に福音を届けるのが彼らの使命だ。

アミール自身も10年前まで福音の存在すらなかった辺境の集落の出身者だ。彼の村に、ある宣教団体のチームが訪れたとき、村人たちは彼らを受け入れやすい状態であったため、多くの人々が癒やされた。現在、その地域には7つの教会があり、アミールは他の遠隔地の村々にも福音を届けることに使命感を持っているのだ。彼と仲間たちは弟子を作り、教会を設立し、キリストを伝え、その地域に霊的な波紋を広げている。

近年、ネパールでは宗教の自由に影響を与える法的および政治的な変化が見られる。2015年の新しい憲法で世俗国家を宣言したが、18年に採択された改宗禁止法は、キリスト者にとって厳しい環境を作り出した。

この法律は他の宗教への改宗を禁止し、改宗行為に対して厳しい罰則を科している。これにより、教会の攻撃やクリスチャンへの嫌がらせ、逮捕の報告が増加している。

現在、ネパールのキリスト者への風当たりは依然として厳しいままだ。法的枠組みは宗教の自由を表向きには保護しているものの、実際には、キリスト信者は重大な社会的圧力と法的挑戦に直面している。それでもネパールのキリスト者は人口の約4・4%である約130万人に増加し、成長しているのだ。

迫害は主に過激なヒンズー教グループや、改宗を否定的に見る社会規範から来ている。改宗者は家族やコミュニティーからの拒絶や暴力に直面することが多い。特に農村地域では社会的圧力が強いため、改宗禁止法がクリスチャンの逮捕や嫌がらせを正当化するために利用されている。

これらの挑戦にもかかわらず、アジアンアクセスやオープンドアーズのような団体は、祈り、実際の支援を通じて現地の信者を助け続けている。

ネパールの信者は迫害にもかかわらず、その使命を全うする決意をしている。アミールと彼の仲間たちは信仰を保ち、福音を遠隔地の集落にまで広め続けている。

アミールらの働きのために祈ろう。教会が守られ、彼らに信仰の強さと大胆さが与えられるように祈ろう。そして政治指導者たちが信教の自由を認め、宣教がいよいよ前進するように祈っていただきたい。

■ ネパールの宗教人口
ヒンズー 75・0%
プロテスタント 4・4%
カトリック 0・02%
イスラム 4・4%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。