2024年6月21日20時33分

ワールドミッションレポート(6月21日):トルコの裁判所、伝道するキリスト者の国外追放を支持する判決

執筆者 : 石野博

使徒の働きにあるパウロの異邦人伝道の舞台であった小アジアは、地理的に現在のトルコとほぼ重なる。このようにトルコは、キリスト教の歴史的ルーツと深く結び付いている国だが、今日、キリスト教信仰を貫くには厳しい場所となっている。

「トルコ政府はキリスト教とその歴史を消し去ろうとしています。彼らはキリスト教と福音の伝播を国家安全保障上の脅威と見なしています」。そう言うのは、殉教者の声カナダ(VOMC)のグレッグ・マッセルマン氏だ。トルコ政府は、福音を広めていたという理由で、近年9人の外国人であるキリスト教指導者を国外追放にした。

マッセルマン氏は言う。「トルコの秘密警察の報告書では、これらの指導者が国家の安全を脅かしているとされていました。信者たちはその決定に反論するため法的手段を講じましたが、トルコの最高裁判所は、政府の追放は信教の自由を侵害していないと判決を下したのです」

「トルコに対する批判の一つは人権侵害です。ですから、彼らがこれほど公然とそのような行動を取るのはなぜなのか非常に興味深いところです。これはトルコが目指すEU加盟の可能性を自ら閉ざす行為に他なりません」

「裁判所の13人の判事のうち6人は多数意見に反対しました。その6人は『このような判例を作るのは非常に危険だ』と考えています」

これらの信者たちは今、欧州人権裁判所に上訴することができる。「欧州人権裁判所に上訴することは、トルコを守勢に追い込むでしょう。私たちはこの状況を非常に注視しています。彼らにとっても国際社会がどのような反応を示すのか、非常に興味深いはずです」と、マッセルマン氏は続けた。

新約聖書の重要な宣教の舞台であったトルコが今では、無関心を通り越して、その教えを封殺し禁じる立場にある。このような逆風の中、御言葉を宣べ伝える主の教会が守られるよう祈ろう。パウロたちが汗と涙を流して伝道したかの地で、再び主の栄光が恐れられるよう祈っていただきたい。

■ トルコの宗教人口
イスラム 96・6%
プロテスタント 0・03%
カトリック 0・06%
正教 0・03%
ユダヤ教 0・02%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。