2024年6月8日10時48分

ワールドミッションレポート(6月8日):アラブ世界で家庭内虐待をテーマにしたキリスト教放送局のテレビシリーズが反響呼ぶ

執筆者 : 石野博

中東にブロードキャストしているキリスト教放送局アラブビジョンがある。彼らのテレビシリーズ「明日への希望(Hope for Tomorrow)」が、中東のイスラム社会で反響を呼んでいるというのだ。

この番組は、アラブ世界全域で衛星を通じて放送され、このシリーズに対する関心は非常に高いという。取り上げられる問題には、家庭内暴力、女性の人身売買、児童婚、近親相姦などが含まれている。

近親相姦についてのエピソードはSNSを通じて900万人以上に届き、そのうち半数が実際に番組を視聴した。そして約7万5千人がSNSを通して反応を示したのである。

ストーリーは実際の出来事に基づいており、テーマの性質がデリケートであるため、プロの俳優が演じる。撮影中、クルーの一部(ムスリムも含む)は、タブーとされている問題がアラブ世界のキリスト教テレビチャンネルで放送され、これが議論を巻き起こしていることに大きな感銘を受けた。

アラブビジョンのフォローアップチームは、番組に寄せられる多くの質問に対応するため、非常に忙しくしている。チームのメンバーであるファリドは、時間外労働をしなければならないほど忙しい。彼女は言う。

「近親相姦に関するこの番組がこれほどの反応を引き起こすとは予想していませんでした。現在、多くの女性がSNSを通じて私たちにプライベートメッセージを送り、彼女たちのつらいストーリーを共有してくれています。私たちは耳を傾け、助言し、可能な限り、各国のカウンセラーや教会の牧師チームに紹介しています。アラブ文化において近親相姦の話題がタブーであることは知っていましたが、これほど多くの人々が反応するとは本当に驚きです」

イスラム世界での女性の地位は低く、彼女たちの問題が表面化することはほとんどなかったが、アラブビジョンの番組が起爆剤となり、同じような境遇で傷ついている女性たちが勇気を得て反応を示しているのだ。失望している彼女たちには、キリストの愛と癒やしが真に必要なのである。

これらの番組がきっかけとなり、彼女たちの心のケアがキリストにあってなされるように祈ろう。このような尊い働きに従事するアラブビジョンの奉仕者たちのために、また彼女たちの働きを通して、傷ついた女性たちが救いの恵みにあずかるよう祈っていただきたい。

◇

石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。