2019年4月15日に発生した火災により、尖塔と屋根の一部が崩壊するなど壊滅的な被害を受けたフランス・パリのノートルダム大聖堂に5月24日、十字架が再び設置された。大聖堂の再建プロジェクトにおける一里塚となるもので、世界中から喜びの声が挙がった。
ノートルダム大聖堂の後陣にある象徴的な十字架は、火災で装飾などが損傷したが、熟練した鉄工職人らによる入念な修復作業を経て、再び元の場所に設置された。
十字架は、19世紀のフランス人建築家であるビオレ・ル・デュクが設計したもので、長さ12メートル、重さ1・5トン。「クワイヤ」と呼ばれる大聖堂内陣の区域を覆っていた屋根の中で、唯一火炎に耐えた部分で、ノートルダム大聖堂の回復と信仰の象徴となっている。
再建プロジェクトは、250社近い会社が関わり、職人や建築家、専門家ら数百人が参加しており、今年12月までに大聖堂を再開することを目標としている。
火災から5年が経過した現在、焼失した高さ96メートルの尖塔の再建をはじめ、再建プロジェクトは着実に進んでいる。しかし、大聖堂の大部分は依然として足場に包まれたまま。尖塔だけでも、総重量600トンに及ぶ足場に囲まれており、再建プロジェクトの巨大さと複雑さを物語っている。
カトリックが盛んなフランスの象徴的な大聖堂を襲った火災は、調査の結果、電気回路のショートが原因である可能性が高いと結論付けられている。
ノートルダム大聖堂は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産にも登録されており、観光名所としても有名で、火災前は年間1200万人の観光客が訪れていた。火災は深刻な打撃だったが、国際社会から圧倒的な支援を受け、再建のために10億ドル(約1550億円)を超える寄付が寄せられていた。
■ ノートルダム大聖堂の十字架の再設置