2024年3月21日13時44分

ワールドミッションレポート(3月21日):ラマダン中のサウジアラビアのために祈ろう

執筆者 : 石野博

1990年ごろからキリスト信者の間で、ラマダン中のイスラム教徒たちのための祈りが始まり、この祈りのムーブメントが世界中で活発化している。実際、過去1400年間のキリスト教とイスラム教の交流の年月の成果を合わせたよりも、この30年の間にキリストに従うことを決意したイスラム教徒の方が多いという(2023年4月5日世界宣教祈祷課題、2024年2月1日当レポート参照)。祈りは物事を変えるのだ。

多くの中東のイスラム教国がそうであるように、サウジアラビアの山間地や谷間のへき地でも携帯電話や電気が普及し、ロバの代わりにトヨタのトラックが走るようになった。しかし、彼らの世界観は数十年前からほとんど変わっていない。これらの人々は何世紀にもわたるイスラム文化、宗教、部族の伝統に従っている。ブルカと呼ばれるベールをかぶった女性たちは、よそ者が村に入ってくると、おずおずと屋内に駆け込むのだ。

伝統的なサウジアラビアの家庭では、父権的家長の権限が強く、全ての決定が家長によって下される。息子がどのような教育を受けるべきか、娘がどの男性と結婚すべきかを決めるのも家長だ。サウジアラビアでは、2017年になってようやく女性が自動車を運転することが許可されたが、ある家長の男性はこう言い放った。「女が街中で運転するのは勝手にしたらいい。だがわしの妻と娘たちには絶対に運転はさせない!」と。

この誇り高い人々の未来はいったいどうなるのだろう。スマートフォンやインターネットを通じて新しい考えや外国の概念が持ち込まれたとき、親は子どもたちに古くからの伝統を守らせることができるのか、甚だ疑問だ。

現代のサウジアラビアの人々は、古いものと新しいものとの大きな衝突が起きても不思議ではない時代に生きている。へき地の村人たちでさえも今は、携帯電話で聖書の物語を聞く機会がある。湾岸諸国のアラブ人たちは、チャットを通じてキリスト信者を相手に霊的な議論をすることができる。また、サウジアラビア人向けのアラビア語で放送されるキリスト教テレビ番組では、神の深い愛について聞くことができる。

サウジアラビアでも、多くの若者が真理を求めている時世だ。特にラマダンの時に、彼らが切実に必要としている「真理」を見つけることができるよう、希望と信仰を持って祈っていただきたい。

■ サウジアラビアの宗教人口
イスラム 92・4%
プロテスタント 0・4%
カトリック 4・7%
正教関係 0・3%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。