2024年3月16日18時39分

ワールドミッションレポート(3月16日):ラマダン中のモルディブのために祈ろう

執筆者 : 石野博

世界宣教祈祷課題(10月11日):モルディブ
モルディブの首都マーレ(写真:Shahee Ilyas)

モルディブは世界中からの観光客が訪れる人気のあるアイランドリゾートだ。しかし悲しいことに、イエスに従うことを選んだモルディブ人は厳しい風当たりを避けられない。

千以上の島々からなるこの国は、国民のイスラム教徒率が100%であると公言しており、彼らは、モルディブの国民はイスラム教徒であるべきだと考えている。この国の緊密な共同体では、イスラムの価値観からの逸脱はすぐに見破られ、当局やイスラム教指導者に通報される。そのため、イスラム教を離れた者は信仰を秘密にしなければならない。夫、妻、子どもたちが互いの信仰を知らないこともあるほど危険なのだ。もし発覚すれば、信者はシャリーア(イスラム法)に違反したとして市民権を剥奪され、社会から孤立し、国家からの恩恵を失うこともよくある。

主に観光業に従事する外国人キリスト教徒は、改宗者よりは若干自由があるものの、彼らの集まりは当局によって厳しく監視・管理されている。そのため、反感を恐れて集会をしないことを好む人も多い。外国人キリスト教徒がモルディブ人に信仰を伝えることは厳しく禁じられている。2022年にイスラム省が発布した政令により、外国人労働者に対する監視が強化され、旅行代理店やそのような労働者を扱う者は、モルディブのイスラム的価値観と法律を尊重し、遵守することを周知徹底するよう勧告された。

過激なイスラム教は当局の懸念するところだ。これまでのところ、キリスト教徒が過激派の特別な標的になってはいないが、これは標的とされていないというよりも、彼らが目立たないようにしているためである。モルディブのキリスト教徒で最も迫害を受けるのは、外国人観光客向けの島々以外の地域に住む信者だ。

2023年9月、モルディブでは大統領選挙が行われ、首都マーレの市長だったモハメド・ムイズが大統領に選ばれた。近年、大統領候補には宗教問題に関して穏健さが求められてきたが、ムイズは保守的なイスラム団体からの支持を積極的に求めた。モルディブ社会にイスラムがいかに浸透しているのかを考えると、今度の大統領任期でキリスト教徒への扱いが劇的に軟化するとは考え難い。

モルディブにいる私たちの霊の家族が、自分たちの母国語で聖書を読むことができるように祈ろう。ムイズ大統領の任期が、キリスト信者を含む宗教的少数派に対する軟化を示すものとなるように祈ろう。

3月11日からラマダンが始まっている。90年代からラマダン月にムスリムのために集中的に祈る運動が活発化している。この祈りは確かに聞かれ、近年イスラム世界にかつてないような激変を起こしつつある。ラマダン月のこの日、モルディブのイスラム教徒のために特に祈っていただきたい。

■ モルディブの宗教人口
イスラム 99・04%
プロテスタント 0・08%
カトリック 0・09%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。