2024年3月6日08時59分

ワールドミッションレポート(3月6日):モーリタニアのクリスチャンが直面する迫害のために祈ろう

執筆者 : 石野博

ワールドミッションレポート(3月6日):モーリタニアのクリスチャンが直面する迫害のために祈ろう
モーリタニアの首都ヌアクショット(写真:Laminesall96)

モーリタニアは強固なイスラム教国であり、キリスト教の活動は厳しく制限されている。そのため、キリスト教徒が信仰を表明することは困難だ。イスラム教から改宗することはほとんど不可能と言っても過言ではない。

キリスト教は西洋の否定的な影響と見なされており、改宗者は当局からも家族からも厳しい敵意を向けられる。棄教は法的には死刑に値するが、近年そのような例はない。しかし改宗者は実家から追放され、生計を立てられなくなる危険がある。イスラム主義グループの存在は、イスラム教から離脱する人々にとって脅威となっている。洗礼は秘密裏にしか受けられないが、改宗者の多くは、改宗が発覚した場合の恐ろしい結末を恐れて、信仰を公言することには消極的である。

欧米の外国人キリスト教徒はほとんど放置されているが、伝道は厳しく禁じられ、訴追される可能性もある。モーリタニアのキリスト教徒のほとんどはサハラ以南のアフリカ出身であり、人種差別と信仰に基づく差別の両方を受け、雇用における差別に直面することもよくある。

政府の「アラブ化」政策により、外国人労働者、特にキリスト教徒の外国人労働者を受け入れる余地が少なくなっている。そのため、彼らはさらに経済的困難に陥っている。

インターネットやソーシャルメディアの発達は、改宗者が他のキリスト教徒とつながるのに役立っているが、多くの地域では技術開発が遅れており、また家族内のプライバシーが欠如しているため、これにはまだ困難が伴うだろうといわれている。

農村部では部族や家族の結び付きが特に強く、最大の都市でもあるヌアクショットでも、イスラム教からキリスト教への改宗者に対する圧力は強い。特に東部の国境地帯ではイスラム過激派が活動しており、キリスト教徒にとって脅威となっている。

モーリタニアの全体的な政治的、経済的、社会的状況は、この国をイスラム過激派にとって好都合なものにしている。しかし、海外留学するモーリタニア人の数は増えており、インターネットへのアクセスも向上しているため、若者の間ではよりオープンになっている傾向が認められる。

改宗者が困難や危険に直面しながらも、信仰に励むことができるように祈ろう。信者が集まり、信仰を分かち合う機会が新たに与えられ、この国の強硬なイスラム観が和らぎ、信教の自由が尊重され、福音宣教が進むように祈っていただきたい。

■ モーリタニアの宗教人口
イスラム 99・7%
カトリック 0・14%
プロテスタント 0・08%
英国教会 0・03%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。