2024年3月3日14時07分

ワールドミッションレポート(3月3日):中央アジアのトゥルク系民族 普通の人々が教会設立運動を始める

執筆者 : 石野博

トルコから中央アジアにかけてのトゥルク系諸民族の間ではイスラム教が支配的で、決して宣教は簡単ではない。ところがこのような場所で、強い抵抗や迫害に直面しながらも、教会設立運動を起こし、育て、継続させているのは、多くの場合、普通の人々である。

グルジャンというイスラムから改宗した難聴の女性は、中央アジアの伝道拠点の一つでコックとして働いていた。この時の彼女はまだイエスを知らなかった。何の変哲もない普通のイスラム教徒の女性だったグルジャンだが、彼女はこの共同体にある愛と優しさ、そして不思議な平安に気が付いた。彼女はその秘訣がイエスにあると知り、人生を主にささげたのだ。耳が聞こえにくく太っていたその女性は、熱心な信者となり、新しく見つけた信仰をすぐに他の者にも伝え始めた。

最初は抵抗に遭ったが、彼女は辛抱強く、人里離れた村の親戚や友人にも福音を伝え、人々をキリストに導いた。そこにいた人々は、グルジャンが不機嫌な女性から柔和で優しい人に変わったことに驚いた。彼女の伝道の結果、近隣の2つの村でも家の教会が始まったのだ。

次にアザマットのケースを紹介しよう。彼は、自分の母親と妹がなぜイエスに従ったのか理解できなかった。彼は母と妹に敵対し、執拗に彼女たちの妨害をした。

ところがある日、アザマットの2歳の息子が白血病と診断されたのだ。医者からは何の希望も示されず、手の施しようがなかった。八方手を尽くしても何の解決も見いだせなかったアザマットは、自分の人生が音を立てて崩れ落ちるのを感じた。ついに彼は意を決して、母と妹のところへ行き、息子のために祈ってほしいと懇願した。彼女たちが子どもに手を置いて祈ったところ、なんと息子は、完全に癒やされたのである。アザマットは涙を流しながら、自分の人生をキリストに明け渡した。それ以来、彼は3つの教会を建て、その数は今では6つに増えた。来年には12の教会になると期待しているのである。

伝統的に宣教の厳しい土地だが、神は不毛と思われるこの地で豊かに働いておられる。これら中央アジアのトゥルク系民族の中で、さらに救霊の御業が拡大していくよう祈っていただきたい。

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。