2023年10月30日12時21分

ワールドミッションレポート(10月30日):迫害に直面するモロッコの信者のために祈ろう

執筆者 : 石野博

北アフリカでは、イスラム教信仰を揺るがすことは犯罪に当たる。もしキリスト教徒が自分の信仰について他者に話せば、逮捕・起訴される危険がある。このような法的背景から、モロッコではイスラム教からキリスト教へ改宗した場合、私的にも公的にも信仰を捨てるようにと集中的な圧力を受ける。

改宗者は、相続権や子どもの親権を失うという罰も受ける。状況によっては、キリスト教徒は聖書を所持しているだけで、あるいはイスラム教徒とキリスト教信仰について話しただけで逮捕され、罰金を科されるのだ。

しかし、キリスト教徒を危険にさらしているのは、布教を禁じる法律だけではない。この地域ではイスラム過激派が活動しており、キリスト教徒は信仰を理由にした暴力的な攻撃の脅威に直面している。

キリスト教徒は公共の場で政府による尋問、殴打、投獄の標的になる。仕事面では、信仰を理由に同僚から嫌がらせを受けたり、職を追われたりすることもある。信仰が知れると、多くのキリスト教徒は就職活動で差別され、就職はほとんど不可能になる。

キリスト教のトラクトやリソースの配布は制限されており、キリスト者は嫌がらせを受ける。聖書を持っているところを発見されれば、殴られたり投獄されたりすることさえある。このような圧力は、現実社会にとどまらずネット上でもある。自分の信仰を公表したために、サイバーハラスメントを受ける危険もある。家族や社会からの圧力によって、信者は孤立や移転を余儀なくされるのだ。

キリスト者に対する圧力は、いかなる形の信者の交わりも維持することを困難にしている。

イスラム教の背景の改宗者は、特に保守的な農村部において宗教的迫害を最も受けやすい。ほとんどの改宗者は家族や地域社会の圧力から比較的逃れやすい都市部に住む。

モロッコのキリスト教徒に対する暴力は昨年増加した。その主な理由は、家の教会を含む教会堂がより多くなっており、それが攻撃されているためだ。多くの生活領域において、圧力は依然として極めて高い。

北アフリカの全ての信仰が寛容になり、キリスト信者が自由に集まれるように、改宗者に職があり、家族や友人からの支援があるように祈ろう。北アフリカのキリスト信者の信仰が深まるように、モロッコでの救霊が拡大するように祈っていただきたい。

■ モロッコの宗教人口
イスラム 99・9%
プロテスタント 0・02%
カトリック 0・07%
ユダヤ教 0・02%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。