2022年11月5日20時46分

伝道集会の会場貸し出し中止巡る訴訟、フランクリン・グラハム氏側が再び勝訴

伝道集会の会場貸し出し中止をめぐる訴訟、フランクリン・グラハム氏側が再び勝訴
今年5月に英イングランド北西部の都市リバプールで開催された伝道集会で、メッセージを伝えるフランクリン・グラハム氏(写真:ビリー・グラハム伝道協会=BGEA)

同性婚に反対していることなどを理由に、米国人伝道者フランクリン・グラハム氏の伝道集会への会場貸し出しが中止されたことを巡る訴訟で、英グラスゴーの裁判所は10月24日、グラハム氏側の訴えを支持する判決を下し、会場の運営会社に対し、9万7325ポンド(約1620万円)の損害賠償金を支払うよう命じた。

スコットランド南西部の都市グラスゴーにあるイベント会場「SSEハイドロ」の運営会社であるスコティッシュ・イベント・キャンパス(SEC)社は、グラハム氏が主張する結婚や性に関する伝統的な見解を理由に、性的少数者(LGBTQ)のコミュニティーからの圧力に直面し、予定されていた伝道集会への会場貸し出しを中止した。そのため、グラハム氏が総裁を務めるビリー・グラハム伝道協会(BGEA)はこれを不服とし、訴訟を起こしていた。

グラスゴーの裁判所は判決で、グラハム氏とBGEAはSEC社により不当に差別されたとし、キリスト教徒の信仰の自由を強く擁護した。

ジョン・マコーミック判事は、SEC社の行為について「美徳を宣伝するための露骨な行為」だったと指摘。SSEハイドロは、「ネット上の政治指導者によって駆り立てられ、扇動された公的圧力に屈した」とした。その上で、SEC社がBGEAの伝道集会に抗議する人々の意見を支持し、伝道集会を支持する人々を黙らせたという点で、平等法に違反しているとした。

マコーミック判事は280ページに及ぶ判決文(英語)の中で、次のように述べている。

「地域社会の一部の人々が、たとえどんなに激しく、宗教に基づく信念に反対しているとしても、一般的なキリスト教の宗教的集会が開催できないという結果を、法が支持することはできない」

「民主主義社会におけるそのような反対者は、他の宗教的見解に抗議するための表現の自由と集会の権利を有していることは間違いないであろう」

「彼らにないのは、彼らを黙らせる権利、宗教集会が開かれるのを止める権利、そして伝道集会『グラスゴーSSEハイドロイベント』でフランクリン・グラハム氏によって説かれる福音を聞きに来る全ての人々を歓迎するのを止める権利である」

マコーミック判事は今回、BGEAに対し総額10万ポンド近い多額の損害を認めたが、その他の費用を決定するために、来年1月にさらなる審理が行われる予定。

今回の判決に対してグラハム氏は、この判決は「英国における言論と信教の自由の明確な勝利」だとして、次のように述べた。

「この訴訟は決して金銭的な救済のためではなく、英国における信教の自由、特にキリスト教徒が公共の場で福音を伝える権利を守るためのものでした。私は、ジョン・マコーミック判事が法を守り、キリスト教徒が公平かつ平等に扱われなければならないと断言してくれたことに感謝したいと思います。この判決は、英国や世界の多くの地域のキリスト教徒やあらゆる信仰を持つ人々にとって、大きな励みとなることでしょう」

今回の訴訟で、グラハム氏の2020年の英国伝道ツアーにおける会場貸し出し中止を巡る勝訴は、5つ目となる。

グラハム氏の英国伝道ツアーは、全ての会場が貸し出しを中止する事態となったが、新型コロナウイルスのパンデミックもありツアー自体が延期に。2年後の今年、英国内の4都市で開催され、計2万人近くが参加した。