2022年7月5日20時19分

新・景教のたどった道(73)東方景教の遺跡を巡る旅・中国(6)福建省 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

私は元の時代を中心に10~14世紀、福建省の泉州ほかで集会を持っていたエリカオン(也里可温)教徒の足跡をたどってみたいと願っていた。しかし集会場所は今はなく、発見された石碑が多く保管されている泉州海外交通史博物館と厦門(アモイ)大学人類博物館を訪ねることができた。2人の韓国人宣教師が同行してくれて助けられた。一人は日本語の堪能な日本宣教師と中国語の堪能な中国宣教師で、中部国際空港をたち、インチョン国際空港で待ち合わせ、福建省の厦門高崎空港に着いた。

台湾から来ていた有能な信徒が経営するショップ兼集会所で歓迎を受け、食事を頂き、聖書の言葉を筆で書いてプレゼントすると大変喜んでくれた。続いて、この地域で最初に建設された福音教会会堂を訪ねた。

そして、念願の泉州海外交通史博物館を訪ねると、日本語の堪能な中国人女性ガイドが、陳列された遺跡を説明してくれた。ここの館長には以前韓国で会ったことがあり、再会できると願っていたが、会議の多忙さから会えずに残念であった。陳列には多くの歴史遺産もあり、墓碑には十字と雲形、下にはシリア文が彫られるものも多く、漢文とハ思巴(ハシバ・蒙古)文字が彫られているのもあり、その中から数点を紹介することにした。十字を抱いたケルビムのような天使像が彫られているのは珍しく、西アジアの影響と言えよう。

新・景教のたどった道(73)東方景教の遺跡を巡る旅・中国(6)福建省 川口一彦
新・景教のたどった道(73)東方景教の遺跡を巡る旅・中国(6)福建省 川口一彦
新・景教のたどった道(73)東方景教の遺跡を巡る旅・中国(6)福建省 川口一彦
新・景教のたどった道(73)東方景教の遺跡を巡る旅・中国(6)福建省 川口一彦
新・景教のたどった道(73)東方景教の遺跡を巡る旅・中国(6)福建省 川口一彦

続いて私たちは中華福音教会の集会に参加した。夜であったので、玄関上には赤く点灯した十字が大きく輝いて宣教していた。そこには20人ほどの信徒らが賛美し祈り、私が唐代に景教やエリカオン教が中国一帯に宣教していたことを伝えると、勇気づけられていたことが伝わった。

続いて厦門大学に行き、人類博物館の陳列品を見学した。ここにも元代の十字墓石が数点あった。ここでは用意されていた筆と墨で書を揮毫(きごう)し贈呈した。

新・景教のたどった道(73)東方景教の遺跡を巡る旅・中国(6)福建省 川口一彦
新・景教のたどった道(73)東方景教の遺跡を巡る旅・中国(6)福建省 川口一彦
新・景教のたどった道(73)東方景教の遺跡を巡る旅・中国(6)福建省 川口一彦

ほかに厦門博物館の厦門歴史陳列を訪問すると、初期の教会学校で教えていた教師と主の祈りの写真が飾られていた。

この旅で私は、教会や博物館で案内してくださった宣教師たち、多くの方に心から感謝して2泊3日の旅を終え、無事守られて帰宅することができた。多くの収穫を与えられ、念願をかなえてくださった三一の神様に心から感謝をささげた。

※ 写真は川口が撮影。

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※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)
『泉州海外交通史博物館蔵 宗教石刻精品』(北京・海洋出版社、2020年)
吴文良原著・吴幼雄増訂『泉州宗教石刻』(北京・科学出版社)
川口一彦著『東方基督教遺跡見聞記』(2020年、私家版)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

1951年、三重県松阪市生まれ。愛知福音キリスト教会宣教牧師、基督教教育学博士。聖書宣教、仏教とキリスト教の違い、景教に関するセミナーなどを開催。日本景教研究会(2009年設立)代表、国際景教研究会・日本代表を務める。季刊誌「景教」を発行、国際景教学術大会を毎年開催している。2014年11月3日には、大秦景教流行中国碑を教会前に建設。最近は、聖句書展や拓本展も開催している。

著書に 『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、2014年)、『仏教からクリスチャンへ―新装改訂版―』『一から始める筆ペン練習帳』(共にイーグレープ発行)、『漢字と聖書と福音』『景教のたどった道』(韓国語版)ほかがある。

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