2022年4月20日10時00分

世界宣教祈祷課題(4月20日):ルーマニア

執筆者 : 奥山実

「“いま” 支援が必要」 日本の教会関係者有志らが「ウクライナ難民を支援する会」設立
戦火を逃れ隣国ポーランドへ避難するウクライナの人々 ©WFP/Marco Frattini

1989年のベルリンの壁崩壊に端を発した民主化の波は、ルーマニアにも波及し、74年以来続いていたチャウシェスク大統領の独裁政権を、89年暮れ、流血の革命のすえ打倒し、民主化に至った。政権を批判していたテケシュ牧師(現欧州議会議員)の強制連行事件が発端となって民衆の怒りに火が着き、社会主義体制は終焉を迎えた。

信仰の形骸化など、課題があるものの、ルーマニアのほぼすべての教会が今、隣国ウクライナからの難民を助けるために力を尽くしている。彼らは、侵攻の初日から国境に出向き、避難民を受け入れ、食べ物やお菓子、おもちゃなどを提供し、彼らにできることで対応した。ある教会関係者は、難民を自宅やホテル、ゲストハウスに無償で受け入れた。教会は建物を開放して難民が滞在できるようにし、ルーマニアから他の国に行く人には、交通費を負担して助けている。

15日時点で、難民の数はすでに72万5千人を超えている。ほとんどの教会がウクライナの教会と直接連絡を取り、食料、医薬品、衣類、おむつなど、必要なものをトラックで運んでいる。これらの援助の働きは、ウクライナ側に適切なコンタクトがないと、物資が正しく使われないのだ。難民一人一人の記録を取るのは非常に重要なのだが、よく組織化されたルーマニアの教会は、警察に協力してこれをしている。教会は今、教派を超えて難民救援に尽力している。

95年から長年にわたってルーマニア宣教に従事した石川秀和氏(現近江聖書教会牧師)のルーマニア関連団体カイロス・エージェンシーが緊急援助を呼び掛けている(緊急支援窓口はこちら)。われわれも祈りと援助によって現地の人々に支え、ルーマニア教会の奉仕を通して、国を追われた人々に神の愛が届き、彼らの心の痛みが癒やされるよう祈ろう。

■ ルーマニアの宗教人口
正教 87・1%
プロテスタント 7・5%
カトリック 5・3%
ユダヤ教 0・03%
イスラム 0・6%