2021年11月12日11時22分

電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも…一体誰のせいなの? 菅野直基

コラムニスト : 菅野直基

うまくいかないことをすべて人のせいにする人が多い。だから、うまくいかないことを自分のせいだと考える人がいたら、「えっ!?」と思うのではないでしょうか。

しかし表向きは「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのもすべて私のせい」と言っていても、心の中ではイライラしているものではないかと思います。自分を責めても責めきれないし、責めた結果、それを次回に向けた教訓としていくなら健全です。

車のブレーキは摩擦させることで減速させるため、ものすごい熱を発します。以前、バイクで富士山5合目から飛ばして降りてきたら、過熱でブレーキの効きが悪くなるフェード現象が出たので、これは危険だと思ってすぐにバイクを停車させました。

だいぶ時間がたったので、ディスクブレーキが冷えただろうと考えてちょっと触れてみました。「熱ちっ!」大変な高熱で火傷をし、水ぶくれができてしまいました。それは私の責任です。ディスクブレーキが熱いのにそれを触ってしまったからです。

最近のハイブリッドカーでは「回生ブレーキ」といって、ブレーキで過熱された熱をエネルギーに利用するというシステムがあります。「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのもすべて私のせい」と言って自分に責任があると考えるのは、ブレーキをかけて熱を溜め込むことに似ています。そのエネルギーを回生させて、感謝や前進に向けられたら素晴らしいと思います。

「すべて私のせい!」と考えたら、その行き先は、自虐的、自罰的、内罰的になります。行き着くところは、自分を傷つけ、自害することにつながります。そこに行く前に、人は「すべて私のせい!」から「私にも責任の一端はあるが、あなたにも責任があるんじゃない!」と人を責めるようになり「すべて人や状況のせい!」と考えるようになる人もいます。

人類の先祖であるアダムは、妻に禁じられた木の実を食べるようにと誘惑されて食べてしまったときに、神様から怒られることを察知して神様から隠れました。神様はアダムに「あなたは、どこにいるのか?」と探しに来られました。

「そよ風の吹くころ、彼らは園を歩き回られる神である主の声を聞いた。それで人とその妻は、神である主の御顔を避けて園の木の間に身を隠した。神である主は、人に呼びかけ、彼に仰せられた。『あなたは、どこにいるのか。』」(創世記3:8、9)

罪を犯した人は、相手の目を真っすぐに見られなくなります。アダムが神様に罪を犯していなければ「はい神様、私はここにおります」とすぐに出て行ったことでしょう。この時のアダムは、かくれんぼ遊びをしていたのではないのです。

最初アダムは、自分を責めたことでしょう。しかし次に「私を誘惑した妻のエバにも責任があった。エバが悪い!」と考えるようになり、最後は「妻のエバを造り、エバを私に与えた神様、あなたが悪いのです!」と矛先を神様に向けました。

怒りを持ち、エバと神様を裁いているアダムの心には、平安がありませんでした。それは正しい心ではないからです。罪を犯すように選択をしたのはアダム自身なので、当然アダムの責任です。しかし、自分を責めても責めきれないので、その矛先を他に向けたのです。

私たちも、それと似た考え方をしていないでしょうか。2021年前に、神は独り子イエス・キリストをこの地上に遣わしてくださり、人類の罪をイエス・キリストに負わせました。神は、罪を赦(ゆる)す方ではありません。神が罪を水に流したとしたら、神ではありません。正義が地に落ちるからです。

だから、私たちの罪をイエス・キリストに負わせて、罪を裁かれたのです。これが神の正義です。イエス・キリストを信じるならば、罪が赦されるのです。「すべて私のせい!」と受け止めても、自分を責める必要はないのです。「こんな私を神は赦してくださった。ありがたい!」と考え、感謝が生まれ、「この喜びを他の人にも伝えたい!」と考え、前進していくのです。

イエス・キリストの十字架は、自虐、自罰、内罰を回生させて、感謝と前進につなげてくださるのです。人を裁くのは神であり、人の犯罪を裁くのは法律です。私たちは、自分の責任を認め、それを神に告白して赦しを頂き、感謝しながら前進していきたいものです。

イエス・キリストの十字架に感謝しながら歩んでいきましょう!

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菅野直基

菅野直基

(かんの・なおき)

1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッションなどの地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での賛美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式など、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。

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