2021年10月29日10時10分

自己肯定感より大切なもの 菅野直基

コラムニスト : 菅野直基

日本人は自己肯定感の低い人が多いといわれます。クリスチャンになり、米国留学をしたことで、その問題と長いこと向き合ってきました。神様が「愛している」と言ってくださるのに、どうして素直にそう思えないのだろう、と。

米国に行くと、米国人の多くはまぶしいくらい自信に満ちて堂々としている人が多くいるのてす。しかし、どうして自分はそのように胸を張って生きられないのだろうか。これは、日本の文化と教育に原因があると思います。

人と比較されて「早くしなさい!」「しっかりしなさい!」などと言われ続けます。つまり「お前はダメだ!」と言われ続けているのです。自己肯定感が高い人は、その否定的なメッセージに対して、それを跳ね除けて「早くなくても着実にやればいい!」「しっかりしなくても自分のリズムで生きていけばいい!」と言える人でしょう。

中には、もともと自分が大好きで、自信に満ちていてセルフイメージの高い人がいます。そういう人は、自己肯定感が低い人の気持ちをなかなか理解できません。しかし、もともとは自己肯定をできなかった人が、やがてそれを克服したのちには、その苦しみが分かりますので、カウンセラーになったり、自己肯定ができない人を優しく導くことができます。

聖書は自己肯定を教えているでしょうか。聖書は、自己肯定感を高めようと教えているのではなく、自己受容を教えます。自己肯定感は、人と人との比較から逃れることが極めて難しいです。「これはダメだけどこれができる」などの理由が必要になります。

自己受容は、ダメならダメのまま、45点なら45点のまま受け入れることです。聖書は、ただ「あなたは素晴らしい!」とだけ言うのではありません。罪を「良し!」とはしません。罪も丸ごと肯定する必要はないのです。むしろ、自分のありのままを否定も肯定もしないで受け入れること、そして、そのままでは滅びる存在であることを認め、受け入れて、十字架の救いを受け取ることです。

つまり、自己肯定ではなく、神の目に映る自分として見ることです。それは健全な自己愛であり、健全なマインドです。聖書は「キリストの心を心とせよ」と語ります。神の目に映る自分として、神と共に生きていきましょう。

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菅野直基

菅野直基

(かんの・なおき)

1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッションなどの地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での賛美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式など、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。

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