2021年5月3日11時26分

新・景教のたどった道(50)景教碑頭部のデザインについて(3) 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

景教碑の頭部には幾つかのデザインが刻まれています。前回に続いて、十字の下に彫られたデザインについて考えました。これについて佐伯好郎著『景教の研究』には蓮、蓮台と書かれています。このデザインは蓮なのでしょうか。

新・景教のたどった道(49)景教碑頭部のデザインについて(2) 川口一彦
新・景教のたどった道(50)景教碑頭部のデザインについて(3) 川口一彦

断定はできませんが、おそらく7枝のメノーラー(ヘブライ語で燭台の意味)ではないかと考えます。中央の〇の両側には、それぞれ3個の果実の実のような楕円形が描かれています。両端には花のデザイン、これはアーモンドかオリーブのものなのか。

聖書には7枝のメノーラーの製作について旧約聖書出エジプト記25章31節からの箇所に、金の燭台を作り、両側にはアーモンドの花のデザインのものを付けるように書いてあります。一方でゼカリヤ書4章には、金の燭台の両側には2本のオリーブの木があったと書かれています。景教徒たちがこのことを覚えて聖書に書かれているものをデザインしたのであれば、神の臨在を常に覚えて宣教の働きをしていたのではと考えます。

次の写真は、メノーラーやそれに似たものを掲載しました。仏教の顕教や密教で似たようなデザインの蓮が見受けられるのも、何かの影響があったのではと考えます。

新・景教のたどった道(50)景教碑頭部のデザインについて(3) 川口一彦
ローマ皇帝が82年ごろにエルサレム神殿を破壊してローマの凱旋門に作ったもの。写真は複製。
新・景教のたどった道(50)景教碑頭部のデザインについて(3) 川口一彦
ローマ皇帝アウグストゥスの座像の脚部分にある7葉のデザイン
新・景教のたどった道(50)景教碑頭部のデザインについて(3) 川口一彦
ヘブライ語聖書の挿絵。メノーラーと両側にオリーブの木のようなデザインが描かれている。
新・景教のたどった道(50)景教碑頭部のデザインについて(3) 川口一彦
中国福建省で発見された元の時代のエリカオン教徒の墓碑に彫られた十字と7枝のデザイン
新・景教のたどった道(50)景教碑頭部のデザインについて(3) 川口一彦
高野山景教碑の裏面に彫られた蓮と逆卍など。これは碑を建てたゴルドンの思いが投影されている。

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※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)
旧版『景教のたどった道―東周りのキリスト教』

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

1951年、三重県松阪市生まれ。愛知福音キリスト教会宣教牧師、基督教教育学博士。聖書宣教、仏教とキリスト教の違い、景教に関するセミナーなどを開催。日本景教研究会(2009年設立)代表、国際景教研究会・日本代表を務める。季刊誌「景教」を発行、国際景教学術大会を毎年開催している。2014年11月3日には、大秦景教流行中国碑を教会前に建設。最近は、聖句書展や拓本展も開催している。

著書に 『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、2014年)、『仏教からクリスチャンへ―新装改訂版―』『一から始める筆ペン練習帳』(共にイーグレープ発行)、『漢字と聖書と福音』『景教のたどった道』(韓国語版)ほかがある。

【川口一彦・連絡先】
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