2021年1月28日10時08分

世界宣教祈祷課題(1月28日):エジプト

執筆者 : 奥山実

世界宣教祈祷課題(1月28日):エジプト
エジプトの首都カイロの旧市街(写真:Omar Attallah)

昨年の11月25日、エジプトの首都カイロの南に位置するミニヤー県のある村で、イスラム教徒による大規模なキリスト教徒襲撃事件が起きた。

暴徒らは、ある若いキリスト者の男性がフェイスブック上でイスラムを冒とくしたとして、村のキリスト者らの家や家財を襲った。

ところが、村のあるイスラム教徒男性は、キリスト教徒の隣人の家が襲われないように守ってくれたというのだ。このことからも分かる通り、イスラム教徒のすべてが暴力的かつ略奪的であるというわけではなく、ある特殊な過激主義イスラム教徒が問題なのだ。

通常このような暴動のケースでは、警察は関係者全員を釈放するのだが、今回は20人のイスラム教徒と約15人のキリスト教徒が検察に送致された。告訴するかどうかはまだ決定されていない。

襲われた被害者側のキリスト者らも勾留されたのは「警察は偏っている」と民衆が非難するのを避けるためだ。

残念だが、根拠のないキリスト者への攻撃は、エジプトでは決して珍しいことではない。

キリスト者はエジプトのどこでも自由に生活できるが、エジプトでは、キリスト者が伝道や自身の信仰の共有をしようとするとき強い反発に直面する。キリスト教とイスラム教の間の摩擦の激化は、多くの場合、次の3つのうわさやうそが原因になるという。

1)キリスト者がイスラム教を冒とくしたとするうわさ。
2)無許可のキリスト教会開所のうわさ。
3)キリスト教徒男性とイスラム教徒女性の不適切な関係のうわさ(逆は不問)。

これらの告発は、うわさやうそに基づく場合が多く、加えてイスラム側が責められることがないため、イスラムによるキリスト者への攻撃が常態化、激化しているという。

このようにエジプト社会には、構造的なキリスト者迫害のサイクルが定着してしまっている。この悪循環が是正され、この地の伝道が進むように祈っていただきたい。

■ エジプトの宗教人口
イスラム 86・7%
コプト正教会関係 11・6%
プロテスタント 0・9%
カトリック 0・4%
英国教会 0・01%