2019年1月3日18時44分

温故知神―福音は東方世界へ(114)日本景教研究会本部に建つ大秦景教流行中国碑側面の拓本 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神―福音は東方世界へ(114)日本景教研究会本部に建つ大秦景教流行中国碑側面の拓本 川口一彦

<解説>
両側面にはシリア文字で指導者の名前が彫られています。左側面には景教碑を見に来た人物が、景教碑があまりにもよく造られていたのを感動して、シリア文字の上に楷書体で書き込みました。それを訳すと、「(碑が建立された781年から)1079年後(つまり1859年、咸豐9年[1859~60]のこと、中国清の時代)、武林(武林は現在の杭州)の韓泰崋が見に来た。幸いに文字が完全に整い、重ねて碑亭を造り覆った。惜しいことに亡くなった友人の呉子苾方伯が見に来れず、嘆くばかりである」となります。

次に上段のシリア文字と漢語を記しました。以下の僧とは指導者で、牧師または長老を指します。大徳曜輪はシリア語で、マール・ヨハナン、大徳は主教または主任牧師。僧日進は、牧師イサク。僧遙越は、牧師ヨエル。僧廣慶は、牧師ミハエル。僧和〇(=土へんに口)は、牧師ジョージ。僧思明は、牧師マハダ・グースナサ。僧寶達は、牧師ムシャダ。僧拂林は、牧師エフライム、父祖ダビデ。僧福壽は、牧師モーセ。シリア語の読みは、唐代ではどのように発音したかは不明で、カタカナ表記も不明な部分があります。(シリア語はセム語と同じ右から左に書いて読む)

温故知神―福音は東方世界へ(114)日本景教研究会本部に建つ大秦景教流行中国碑側面の拓本 川口一彦

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

1951年、三重県松阪市生まれ。愛知福音キリスト教会宣教牧師、基督教教育学博士。聖書宣教、仏教とキリスト教の違い、景教に関するセミナーなどを開催。日本景教研究会(2009年設立)代表、国際景教研究会・日本代表を務める。季刊誌「景教」を発行、国際景教学術大会を毎年開催している。2014年11月3日には、大秦景教流行中国碑を教会前に建設。最近は、聖句書展や拓本展も開催している。

著書に 『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、2014年)、『仏教からクリスチャンへ―新装改訂版―』『一から始める筆ペン練習帳』(共にイーグレープ発行)、『漢字と聖書と福音』『景教のたどった道』(韓国語版)ほかがある。

【川口一彦・連絡先】
電話:090・3955・7955 メール:[email protected]

フェイスブック「川口一彦」で聖句絵を投稿中。また、フェイスブック「景教の研究・川口」でも情報を発信している。

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