2018年10月25日15時21分

温故知神―福音は東方世界へ(109)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本54 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神―福音は東方世界へ(109)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本54 川口一彦

<本文と拓本>文字30(1641+30=1671)
来威(来威し)、月窟畢萃(月窟<月が沈む西方の國>畢く萃まる)。
建中統極(建中は極みを統べ)、聿修明徳(聿に明徳を修む)。武粛四溟(武は四溟を粛し)、文清萬域(文は萬域を清む)。燭臨人隠(燭は人の隠れしに臨み)、鏡觀物色(鏡は物色を観る)。

<現代訳>
西方の国からも多くの民が来唐しました。
建中徳宗皇帝は中国を支配し、徳を修得されました。武術と芸で全土を鎮静されました。民に気配りをされ闇に光をともし、社会に反映しました。

<解説>
西方からの多くの民族であふれていたことを伝えた一文です。建中年間とは紀元780~783年。徳宗の時代も節度使との駆け引きがあり、混乱した時代でもありました。

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。