2018年9月13日10時46分

温故知神―福音は東方世界へ(106)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本51 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神―福音は東方世界へ(106)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本51 川口一彦

<本文と拓本>文字30(1551+30=1581)

玄宗啓聖(玄宗は聖を啓[ひら]き)、克修真正(克く真正を修む)。御牓揚輝(御牓は耀きを揚げ)、天書蔚映(天書は蔚に映ゆ)。皇圖璀璨(皇圖は璀璨とし)、率土高敬(率土は高敬なり)。庶績咸熈(庶績は咸[みな]熈[広まり])、人頼・・・

<現代訳>

玄宗皇帝は聖を啓き、真実で正しい教えを修め、会堂に掲げたご親筆は輝き映えています。皇帝の肖像画は玉のように光り、全土で称賛されています。皇帝の業績は全土に広がり、民も信頼し・・・

<解説>

景教徒たちは決して皇帝支配を否定したり、破壊する意識はなく、皇帝は神に立てられた指導者として認めていました。新約聖書ローマ教会へのパウロの手紙13章前半にある教えを理解していたと考えます。

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)

<<前回へ     次回へ>>

◇

川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。