2018年7月19日11時57分

温故知神―福音は東方世界へ(102)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本47 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神―福音は東方世界へ(102)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本47 川口一彦

<本文と拓本>文字31(1429+31=1460)

白衣景士(白衣の景士)、今見其人(今其の人を見る)。願刻洪碑以揚休烈(願わくは洪碑を刻んで以て休烈<勲功・偉業>揚げん)。

詞曰(詞に言う) 真主无元(真主は元めなく)、湛寂常然(湛寂は常然)。權輿匠化(權輿<創造の初め>は匠化し)、起・・・

<現代訳>

白衣の景教徒その方を今見ました。願わくは大きな碑(大秦景教流行中国碑のこと)に刻んで勲功を称えます。

第3部 三一の主に対する頌栄と皇帝の栄誉を刻む詞で称えます。始めなき真の主は妙で静で不変で、万物の創造の初めに地を起こし、・・・

<解説>

この部分は景教碑を建てる理由と目的が記されてあります。すなわち、神と人に献身的に仕えた伊斯の活躍が景教を立派にしたことで、彼の献身的内容を忘れないために、勲功を記録することが目的でもあったことが第2部の最後に書かれました。白衣とは白い服であり、清潔の意味があると説く者もいます。

次に、第3部が始まります。初めに三一の主を讃え、皇帝たちの景教に対する働きについて簡潔に書かれていきます。

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。