2018年6月7日18時38分

温故知神―福音は東方世界へ(99)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本44 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神―福音は東方世界へ(99)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本44 川口一彦

<本文と拓本>文字32(1333+32=1365)

異於行間(行間に異ならず)。為公爪牙(公の爪牙となり)、作軍耳目(軍の耳目となり)。能散禄賜不積於家(能く禄賜を散じて家に積まず)。獻臨恩之頗黎(臨恩の頗黎を獻じ)、布辭憩之金罽(辭憩の金罽<毛氈>を布く)。或仍其(或は其の)・・・

<現代訳>

(自分を)偉いとは考えず、かえって上司を護衛する牙、軍隊を整える目や耳となって仕えました。また金品を無駄に使わず、貯めることもせず、皇帝より下賜された七宝のガラス器も会堂にささげ、軍を退くときに下賜された金の絨毯を会堂に敷き、あるいは・・・

<解説>

伊斯の活躍は、仕えるしもべとして、会堂維持のために金品をささげ、多くの信徒の支えとなり、貧しい教会の大きな力と励ましの証しとなりました。

この主体的行為は、主の愛を知った者の行為であり、その恵みの行為によって神にささげる者がさらに起こされていきます。それは決して強制ではなく、自発的で恵みから発した行為でした。

使徒パウロもコリント教会への手紙第二8章、9章その他でも語りました。「彼らは自ら進んで、力に応じて、また力以上に献げ・・・」(Ⅱコリント8:3)。それはキリスト・イエスご自身が、十字架で私たちを富ませてくださるためにささげられたことによります。

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。