2018年4月10日16時04分

FINE ROAD(72)イスラエルの旅シリーズ⑨テルアビブ大学シナゴーグ 西村晴道

コラムニスト : 西村晴道

イスラエルの旅シリーズ ⑨
訪問日 2017年11月12日(日)
シンバリスタ・シナゴーグとユダヤ文化遺産センター
ディアスポラ博物館

シンバリスタ・シナゴーグとユダヤ文化遺産センター
Cymbalista Synagogue and Jewish Heritage Center
設計:マリオ・ボッタ 竣工:1998年

テルアビブ大学構内には、有名なスイスの建築家マリオ・ボッタ設計のモダンな建物がある。タクシーを降りるとすぐ目の前に、大きな2つの塔を持つレンガの建物が飛び込んできた。スイスのモニョの教会、モンテタマロの教会を思い出すボッタの円筒のデザイン。広大なキャンパスの中に静かに建っている。

ロビーから2つのホールへと通じ、1つはシナゴーグ、もう1つは講堂になっている。シナゴーグは中央に祈祷台と説教台、両サイドに会衆席が配置されている。昼の時間、男子学生が2人3人と祈りに来て、キッパ(帽子)をかぶり、腕を黒いテープでぐるぐる巻きにし、日本の山伏に似た姿に変身して真剣に祈っていた。

ディアスポラ博物館 Museum of Diaspora

テルアビブ大学構内にある、ユダヤ人の離散(ディアスポラ)に関する資料を集めた博物館。それぞれの国や時代ごとに、シナゴーグの精巧な模型を展示してあるコーナーは大変興味深い。展示室の壁には次の言葉が記されていた。

“To remember the past, to live the present, to trust the future.” – Abba Kovner
「過去を思い出すことは、現在を生きること、未来を信じること」(私訳)

ユダヤ民族博物館(Museum of the Jewish People)に、シナゴーグの精巧な模型を多数集めた展示コーナー、シナゴーグ建築歴史館があった。まるでキリスト教の歴史建築を見ているようで、なんとよく似ていることかとただただ驚いた。キリスト教の教会の原点を見ているようだった。その中の1つ、フランク・ロイド・ライトの「サンフランシスコのシナゴーグ」は、まさにモダンな教会堂だった。昔、バスツアーでちょっと止まって見たことを思い出し、あれはシナゴーグ(聞いた記憶が・・・)だったのかと。

■ 動画:ぜひご覧いただきたい。キリスト教会堂の原点。

FINE ROAD(72)イスラエルの旅シリーズ⑨テルアビブ大学シナゴーグ 西村晴道
設計者:マリオ・ボッタ
FINE ROAD(72)イスラエルの旅シリーズ⑨テルアビブ大学シナゴーグ 西村晴道
サンフランシスコ・シナゴーグ 設計者スケッチ:フランク・ロイド・ライト
FINE ROAD(72)イスラエルの旅シリーズ⑨テルアビブ大学シナゴーグ 西村晴道
FINE ROAD(72)イスラエルの旅シリーズ⑨テルアビブ大学シナゴーグ 西村晴道

■ 関連記事:フランスの教会シリーズ③パリのユダヤ教会シナゴーグ

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西村晴道

西村晴道

(にしむら・はるみち)

1948年、靜岡県生まれ。一級建築士。法政大学工学部建築学科卒。住友建設株式会社入社・退職し、米ソービック建築設計事務所短期留学を経て、84年に西村建築設計事務所開設。ルーテル学院大学第10回リード賞(キリスト教芸術分野)受賞。日本福音ルーテル教会員。著書に『FINE ROAD―世界のモダンな教会堂をたずねて』。