2017年12月26日23時49分

世界各地でクリスマス祝う パレスチナは「エルサレム」問題で緊張、教皇は難民受け入れ呼び掛け

聖誕教会
ベツレヘムにある聖誕教会。カトリック(フランシスコ会)、ギリシャ正教、アルメニア使徒教会が区分所有しており、特にクリスマスには大勢の観光客が訪れる=2010年9月(写真:Berthold Werner)

パレスチナ

【CJC】イエス・キリストの生誕地とされるヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治区ベツレヘムの聖カテリナ教会で、12月24日深夜から25日未明にかけて、恒例のクリスマス・ミサが行われた。ドナルド・トランプ米大統領が6日、エルサレムをイスラエルの首都と承認したことに世界各国は衝撃を受け、例年と比べて緊張感漂うクリスマスとなった。

聖カテリナ教会に隣接する、キリストが生まれたとされる洞穴の上に建てられた聖誕教会の前にある広場には、大きなクリスマスツリーが飾られたが、観光客は減っている。現地時間午前0時ごろから恒例のクリスマス・ミサが始まり、各国から大勢の巡礼者が集まって祈りをささげた。教会前では、トランプ氏がエルサレムをイスラエルの首都と認めたことに抗議する垂れ幕が掲げられるなど、例年とは異なる雰囲気。

自治区では連日、デモ隊とイスラエル軍の衝突が続き、パレスチナの赤十字組織に当たる赤新月社などによると、6日以降、12人が死亡、4千人以上が負傷している。

韓国

韓国では、全土の教会でキリストの誕生を祝う礼拝が行われ、プロテスタントの韓国基督教総連合会(CCK)はクリスマスのメッセージを発表。「寒さと苦痛の中にいる人たちのことを忘れずに、謙遜の姿勢で他人に配慮する生活を実践しよう」と述べた。

ウクライナ

ウクライナは、正教会の伝統に従って1月がクリスマスの祝日だが、ロシアとの対立を背景に欧州との接近を図る中、今年初めて12月25日もクリスマスの祝日となり、首都キエフの広場は大勢の人でにぎわった。

カトリック教会では24日夜、多くの信者が参加してクリスマスのミサが行われた。また、キエフ中心部の広場には、高さが30メートル近くもあるクリスマスツリーがライトアップで彩られ、大勢の人でにぎわっている。

バチカン

24日午前、ローマは透き通った青空。深夜に執り行われる教皇フランシスコ司式の降誕祭のミサに先立ち、同日正午、教皇による日曜の祈りの集いがバチカンのサンピエトロ広場で行われた。

広場のオベリスクの近くには、毎年のように、クリスマス伝統のツリーとプレゼピオ(イエスの降誕の場面を再現した馬小屋の模型)が飾られている。今年のツリーは、ポーランドから贈られた28メートルのオウシュウトウヒで、イタリア各地の小児科病院に通院・入院中の子どもたちとその両親たちが手掛けた飾り玉や星でデコレーションされた。

教皇は正午の祈りの集いで、平和の君であるイエスの降誕を待つこの時、全世界、特に戦争下にある地域に平和の恵みを祈るよう呼び掛けた。また、この機会に、拉致された司祭や修道者、信者らの解放をあらためて訴えた。

同日夜はサンピエトロ大聖堂でクリスマスイブ恒例のミサを行い、苦境にある各地の難民らに対する思いやりを持ち続けるよう訴えた。教皇は「土地を追われ、愛する人と離れざるを得ない多くの人々がいる」と述べ、ベツレヘムを訪れた聖母マリアとヨセフが泊まる場所を見つけられなかったことに言及。難民らを受け入れる心を持つよう呼び掛け、「クリスマスは恐れを慈しみに変える時だ」と強調した。ミサには1万人の信者が聖堂で参列したほか、外の広場にも大勢の人々が集まった。