2017年8月31日07時04分

温故知神―福音は東方世界へ(79)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本24 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神―福音は東方世界へ(79)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本24 川口一彦

<本文と拓本>32文字(707+32=739)

及漢魏史策(西域圖記および漢魏の史策を案ずれば)漢魏史策(西域圖記および漢魏の史策を案ずれば)、大秦國南統珊瑚之海(大秦國の南は珊瑚[サンゴ]の海を統べ)、北極衆寶之山(北は衆寶の山を極め)、西望仙境花林(西は仙境花林を望み)、東接長風弱水(東は長風弱水に接す)。其土(其土は)

<現代訳>

[景教が来た地について語る]

漢魏の歴史書(史記、漢書、後漢書、三国志など)から大秦国を調べてみますと、それには南は珊瑚の海が、北は衆宝の山々が連なり、西は仙境の花林を望み、東は大きな川が流れています。国土は・・・。

<解説>

中国の歴史書などには、大秦国である西アジアの地誌が書かれてあった。それを紐(ひも)解いてみると、おそらく珊瑚の海とはインド洋あるいは紅海のことか。衆宝の山々とはコーカサスの山々か。長風弱水はチグリス川とユーフラテス川のことか。

とにかく、風光明媚(めいび)なことを表現していて、豊かであることを伝えている。当時は現代と違い、驚くほどの地形であったといえる。そのような地域から宣教に来たことも、神の力と恵みであるとしか言えないだろう。

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。