2016年12月22日18時10分

温故知神—福音は東方世界へ(62)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本7 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神—福音は東方世界へ(62)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本7 川口一彦

<本文と拓本>32文字(169+32=201)
物以託宗(或いは物を指して宗と託し=物体を作って宗教とし)、或空有以淪二(或いは空有の二に淪ち)、或禱祀以邀福(或いは祈祷で福を求め)、或伐善以矯人(或いは善行を伐として人はおごる)。智慮營營(知慮は営営=激しく求める)、恩情役役(恩情は役役=労する)、茫然無得(茫然で得るなく)

<現代訳>
物を神として宗教を作り、空有(仏教宗派の教義的対立)の争いで堕落し、祈祷によって幸福を求め、善行を手柄としておごり、他者を見下します。知恵は貪り求め、心は労苦し、茫然として得ることなく

<解説>
この箇所は、人の堕落後の創造主への反逆としての人の欲望の姿を描いています。

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。