2016年12月8日12時04分

死に勝るいのちを得て―がん闘病817日の魂の記録―(97)日記を書く目的 米田武義

コラムニスト : 米田武義

日記を書く目的

今日は日曜日で、曇天で寒かった。礼拝に行ってきて清々しい気持ちで帰ってきた。同時に天気も和らぎ、青空が広がってきて、太陽も出たり隠れたりするようになった。

今日の日記をつけようと席に着いたが、はて? 私は何のために日記を書くのだろうかと思った。確かに始めたときには、1カ月だけ日記を書いてみようと思ったことを覚えている。肝臓の手術後だったと思う。どういう目的だったかよく覚えていない。

今、どういう目的か考えなくてはならないということは、大した目的ではなかったのかもしれない。正直なところ、私は日記を書くことが目的であるような気持ちである。自分の気持ちを一字一字克明に、分からない字は、辞書を引きながら表現していくという、楽しみといえるかもしれない。

これが400字詰めの原稿用紙なら、もっと楽しいだろうと思うが、作家でもないのに、そんなぜいたくは許されない。

何を書くのか? 書く本人は、非常に大切なトピックについて、項目について書いているつもりであるが、後で振り返って見るときに、実に他愛ないことをくどくどと書いている。これが後で読んでみても、“なるほど、良いことを書いているなあ”と思うくらいのことが書けたら良いと思うが、なかなかそうはいかない。

今書いていることは、日常生活で、TVを通じて、新聞を通じて、人を通じて、また自分自身ふっと感じたことや、疑問を持ったことや興味を持ったことについて気楽に記している。

しかし書いているうちに、どれもこれも、大体聖書に記されてあることに気付く。目新しいことはほとんどないことに気付く。それでも私は書き続けたい気持ちが続いているので書いている。聖書の御言葉の方が、適切に私の気持ちを表現していることが多いので、それを記してしめくくっている。

「私はあなたとともにいる旅人で、・・・寄留の者なのです」(詩篇39:12)

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米田武義

米田武義

(よねだ・たけよし)

1941年4月16日、大阪生まれ。大阪府立三国丘高等学校、国立静岡大学卒業。静岡県立清水東高校定時制教師を勤めた後、東北大学大学院、京都大学大学院(国土防災技術国内留学生)で学ぶ。国土防災技術を退職し、米田製作所を継承する。2008年4月8日、天に召される。著書に『死に勝るいのちを得て―がん闘病817日の魂の記録―』。