2016年11月26日22時03分

温故知神—福音は東方世界へ(60)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本5 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神—福音は東方世界へ(60)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本5 川口一彦

<本文と拓本>28文字(105+32=137)
令鎮化海渾元之性虗而不盈素蕩之心本無希嗜洎乎娑殫施妄鈿飾純精

<注>
令鎮化海は万物を鎮める。渾元之性は人のもともとの本性のこと。虗而不盈は空しく満ちず。素蕩之心とは邪気のない心のこと。本無希嗜は他に好むものはなかった。洎乎娑殫(シリア語のサタンの漢語訳)施妄はサタンは偽りを施して注ぎ。鈿飾は宝石などで身を飾った見せかけの姿。

<現代訳>
万物を支配されました。人の本性は悪に傾かず、純真な心は他のものを求めませんでした。ところがサタンは身を飾って惑わしました。

<解説>
ここは創世記3章前半の人の始祖アダムとエバが狡猾なサタンの惑わしを受けた部分の箇所です。娑殫(サタン)の漢訳はシリア語聖書からで、この用語は碑文以外にも出てきます。

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。