2016年10月27日22時36分

死に勝るいのちを得て―がん闘病817日の魂の記録―(91)キリストの祝福を無駄にしない 米田武義

コラムニスト : 米田武義

キリストの祝福を無駄にしない

一生の間には、誰しも怪我(けが)をしたり、病気をしたりすることがある。誰しも好んでなる訳ではなく、できたら避けて通りたい。しかし、病気をしたり怪我をしたりしたら、もうそれと付き合っていくしかない。それらから逃げることはできない。

この時、注意しなければならないのは、“それらを最優先して付き合いすぎるな”ということである。必要最低限に付き合うべきであり、朝から晩まで、病気・怪我のことを中心に考えて、それらを中心にするいろんな治療に心遣いをしていたら、心身共に、それらに支配されてしまうからである。

むしろ、それらを必要最低限にして、今まで行ってきたことや、その他やるべきことを最優先して行うべきである。病気や怪我のためにやらねばならない治療やリハビリは、むしろ利用して、それらを昇華させて、日常生活に取り入れていった方がよいと思う。

例えば、今まで、漠然とした健康という目標で散歩していた人がいるなら、リハビリなどで歩かねばならなくなったときに、○○を癒やす、○○を治すという、はっきりした目標のために歩くことができる。

今まで満腹感があればよい、おいしかったらよいという食べ方をしてきた人は、それらに加えて、○○に効く、○○を良くするという、はっきりした目標に沿った食べ方ができる。

全て漫然としていた習慣に、方向性が与えられる。それも思いつきや気まぐれなどではなく、生命に関することであるから、かなり真面目な目標や態度、行為になり得る。

マルコの福音書の例で、イエスは彼女に・・・“病気にかからずすこやかでいなさい”と言われた。これは私たちの心掛けで、健やかでいることができるということではなかろうか。イエスの祝福を無駄にしないようにしたい。

「娘よ。あなたの信仰があなたを直したのです。安心して帰りなさい。病気にかからず、すこやかでいなさい」(マルコの福音書5:34)

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米田武義

米田武義

(よねだ・たけよし)

1941年4月16日、大阪生まれ。大阪府立三国丘高等学校、国立静岡大学卒業。静岡県立清水東高校定時制教師を勤めた後、東北大学大学院、京都大学大学院(国土防災技術国内留学生)で学ぶ。国土防災技術を退職し、米田製作所を継承する。2008年4月8日、天に召される。著書に『死に勝るいのちを得て―がん闘病817日の魂の記録―』。