2016年8月2日07時42分

小池新都知事の強さの秘訣を探る 菅野直基

コラムニスト : 菅野直基

東京都知事選挙は長い戦いだったと思います。14日に告示され、31日が投開票日でした。物理的には17日間でしたが、それ以上の長さを感じました。候補者にとってはどんな17日間だったのでしょうか。

小池百合子さんが勝つことは大方の予想通りでしたが、ここまで圧勝するとは誰も思ってもみなかったと思います。

都知事選を終えた今、小池さんの強さについて考えてみたいと思います。

1. 自ら退路を断つ

小池さんは、早い時点で都知事選挙の出馬表明をしました。この後にどんな強敵が出てくるかもしれないのに、勇気があるな!と驚きました。

衆議院議員として8期目の活動をしながら、時を見て、自民党の総裁選挙に出馬することもできました。安定した立場を捨てたということは、自ら退路を断ったに等しいです。

このまま衆議院議員を続けていても、これ以上の地位に就くのは難しいと考えて、次なるステージを目指すべく模索していたところに、たまたま舛添要一都知事の辞任があったのかもしれません。

しかし、選挙で勝たなければ失うものが大きいはずです。本人が語ったように、「崖から飛び降りるような決意」だったに違いないと思います。

人は、安定を求めるものです。しかし、安定を求め、安全地帯であぐらをかいていたとしたら、都知事になるチャンスは巡っては来なかったと思います。

小池さんの姿をTVや新聞やネットで見ながら、「自ら退路を断った人は強いなあ」と感じました。

対して、増田寛也さんや鳥越俊太郎さんは、失うものがなかったというわけではありませんが、自ら退路を断つまでの迫力は感じませんでした。

石田純一さんは、退路を残して、いったんは出馬表明したものの、途中で出馬を取り消しました。

2. ピンチをチャンスに変える発想

小池さんは、選挙を戦いながら、何度もピンチに直面しました。

まずは、自民党東京都連からの推薦を得られませんでした。その時点で出馬を取りやめて、衆議院議員の地位にとどまることもできたはずです。

しかし、そのピンチをチャンスに変える発想力はすごいな!と思いました。

対して、鳥越候補は、雑誌で自らのスキャンダルを取り上げられるというピンチに直面したときに、それをチャンスに変えるのではなく、弁護士の影に隠れてしまいました。

私は、この時点で、「残念ながら鳥越さんは次点にはなれても、当選は難しいだろうな!」と感じました。

ピンチをチャンスに変えるどころか、脱原発や消費税減税などの、とうてい都知事ではできっこないようなでまかせのような政策を矢継ぎ早に並べ立てました。

私は、それより前にやるべきことがあったと思います。

小池さんは、どんなに叩かれようが、悪口を言われようが、必要最小限、飛んできた火の粉は払っても、ムキになってそれを打ち消したり、反撃したりするよりも、そのピンチをチャンスに変えて、多くの人の同情を買いました。

そして、いつの間にか、数多くの都民に「小池さんを勝たしてあげたい!」という気持ちを抱かせ、人々の心を捉えました。

3. 信念を持って自ら仕掛けていく

当確が出た後に、TVのレポーターが小池さんに、風を読む秘訣について質問をしました。良い質問をしたと思っていたかもしれません。

小池さんは、「風を読むのではなく、風を作り出すのです」と答えました。言葉を失って、開いた口がふさがらなかったことでしょう。

風を読む人は、相手の出方を見てこちらの出方を決めます。有権者の一挙手一投足に振り回される政治家には信念はありません。

猪瀬直樹元都知事、舛添前都知事の両知事は、政治と金の問題で失脚させられました。そんな中、「知事報酬を半分にする」という身を切る決断は現実的であり、共感を得たと思います。政見放送、演説、TV出演、一つ一つの立ち振る舞いなどを通して、確固とした信念が表れていたと思います。

都議会の闇を暴き、都議会のドンと真っ向からぶつかろうという姿勢を鮮明に表し、かつ、都民に寄り添い、抱えている問題を解決しようという確固とした姿勢に、有権者の多くが共鳴したと思います。

その強い信念が風を作り出し、ついには風が吹いて、300万近い票を獲得することができたのではないかと思います。

小池さんはたまたま女性でしたが、小池さんが男性であったとしても結果は同じであったと思います。

世界に目を向けると、女性のリーダーは少しずつ増えています。

韓国の朴槿恵大統領、ドイツのアンゲラ・メルケル大統領、英国のテリーザ・メイ首相、チリのミシェル・バチェレ大統領、マルタのマリールイーズ・コレイロ・プレカ大統領、クロアチアのコリンダ・グラバル・キタロヴィッチ大統領、モーリシャスのアミーナ・グリブ・ファキム大統領、ネパールのビディヤ・デビー・バンダリー大統領、マーシャル諸島のヒルダ・ハイネ大統領などです。

そんな中、日本では、せいぜい大臣でした。女性の都知事が誕生したことで、日本にも新しい時代が来たように感じます。

女性総理大臣が誕生する日はそう遠くはないのかもしれません。

聖書は次のように語ります。

「そこで、まず第一に勧める。すべての人のために、王たちと上に立っているすべての人々のために、願いと、祈と、とりなしと、感謝とをささげなさい。それはわたしたちが、安らかで静かな一生を、真に信心深くまた謹厳に過ごすためである。これは、わたしたちの救主である神のみまえに良いことであり、また、みこころにかなうことである」(テモテへの第一の手紙2:1~3)

昨日は、日本の国のために祈る祈祷会(全日本リバイバル合同祈祷会)で、真っ先にこのことのために祈りました。

小池さんが当選して、気分を悪くしている人が身の回りに何人もいます。しかし、選挙は一番民主的な方法です。仕方ありません。

そして、何より、神様が、選挙を通して選ばれたと信じます。

新都知事のために、総理大臣のために、皇室のために、官僚、閣僚、衆参議員、地方議員、首長たちのために、それぞれのリーダー、上に立つ指導者たちのために祈りましょう。

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菅野直基

菅野直基

(かんの・なおき)

1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッションなどの地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での賛美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式など、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。

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